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このページは、私が気になった台湾に関するニュースを個人的にまとめたものです。
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◎台湾の奇美電子、「第8世代」液晶パネル工場を着工(2006年4月25日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の奇美電子は25日、「第8世代」の大型ガラス基板を液晶パネルに加工する新工場を着工したと発表した。2008年をめどに「50型」以上の大型液晶テレビ用のパネル生産を始める。第8世代工場の建設を正式表明したのはシャープ、ソニーと韓国サムスン電子の合弁会社に次ぎ世界で3社目で、パネル大型化で日韓に対抗する。
 新工場は台湾南部・高雄県で着工。「50型以上のテレビの需要が伸びる08年に間に合わせるには、現時点で着工する必要がある」(何昭陽総経理)と判断した。第8世代のガラス基板は1辺2メートルを超えるが、細かいサイズは今後詰める。
 建設費は公表しなかったが、07年も1000億台湾ドル(約3600億円)前後と06年計画と同水準の設備投資額を維持してまかなう見通し。生産能力は需要動向をさらに見極めて決める。
 奇美が同日発表した1〜3月期の最終損益は54億6300万台湾ドル(約196億円)の黒字(前年同期は19億7100万台湾ドルの赤字)。売上高は同77%増の472億6400万台湾ドルだった。

◎台湾新幹線、全線開通来年はじめに再延期(2006年4月23日、朝日新聞)
 当初予定より1年遅れの今年10月末開業を目標に工事が進む台湾高速鉄道(台湾新幹線)は、台北〜高雄間345キロの全線開通が来年初めにずれ込み、当初は台北駅から約7キロ南にある板橋駅(台北県)からの発着となる見通しとなった。台北〜板橋の地下区間の電気工事が遅れているためだ。運転士も養成が遅れ気味で当初はフランス人の経験者らに頼るなど、再度の開業延期を避けるために駆け込み開業になりそうだ。
 全線開通は最も早くて07年1月末になる見込みだ。それまでは、日本の東北新幹線が、開業当初は東京駅に乗り入れず、大宮や上野駅発着だったのと同様の運行になる。
 台湾新幹線は車両などは日本の技術が初めて輸出されたが、当初は欧州の高速鉄道システムをもとに建設された。開業が1年延びたのは、機械電気システムの設計・施工に関する欧州と日本の意見の食い違いから、工事が大幅に遅れたためだ。
 台湾人運転士の養成も遅れており、今年半ばから本格化する。事業主体の台湾高速鉄路(台湾高鉄)はフランスの高速鉄道TGVの運転経験者ら約40人を開業までに雇う。「日本企業がつくった新幹線車両をフランス人が台湾で運転する」ことになりそうだ。
 開業当初の運行本数は1日当たり35〜40本の予定で、収益計画の前提になっている本数の半分程度にとどまる見通し。運転士不足に加え、板橋駅折り返しとなったことで車両のやりくりが難しくなったこともある。
 民間鉄道事業である台湾新幹線は、約1兆円という巨額の借入金を運賃収入で返す計画。運行本数の減少は返済計画にも影響しかねない。
 台湾高鉄は年内に約350億台湾ドル(約1260億円)の資金を必要としており、駅前開発権を担保にするなどの形で銀行に融資を求めている。銀行としては、台湾当局が全面支援の姿勢を続けるかどうかを確認しながら、融資に応じるかどうかを決めるとみられる。

◎台湾の工作機械、中国が軍事転用(2006年4月12日、産経新聞)
 【台北=長谷川周人】台湾製の超高精度な工作機械が中国で大量に軍事転用され、武装ヘリコプターの攻撃能力を高めるなど、中国軍による兵器近代化に利用されていることが11日分かった。中国が800基を超える短距離弾道ミサイルを台湾に向けて配備するなか、台湾企業の技術がその下支えをするという皮肉な実態が浮き彫りになった。
 台湾の国防当局関係者らによると、中国での軍事転用が確認されたのは、NC(数値制御)旋盤加工と呼ばれる1000分の1ミリ単位の超高精度で金属を加工する台湾製の特種工作機械。昨年の後半段階では、ミサイルの発射装置に使うステンレス部品の加工のため、少なくとも数十台がフル稼働していた。
 部品の形状などから攻撃ヘリに搭載する発射装置とみられるが、中国海軍主力の「直昇9C(Z−9C)」は対潜ヘリで、対戦車、対空ミサイルは搭載していない。
 このため台湾の国防当局では「問題の部品は軽量化が施された多連装式で、陸軍が中国初の本格的な攻撃ヘリとして、台湾上陸作戦も視野に入れて開発した『武直10(WZ10)』に搭載されると考えられる。超高精度加工は精度向上などが目的とみられる」と分析する。

◎台湾の奇美電子、米トムソンと技術契約(2006年3月6日、日本経済新聞)
 台湾の液晶パネル大手、奇美電子は米トムソン・ライセンシング社から、パネルや液晶モニターに関する技術供与を受ける契約を結んだ。米トムソンは技術使用権の供与を手がける仏トムソン傘下の会社で、奇美は液晶パネル関連の特許訴訟を未然に防ぐ狙い。奇美は2月上旬に、シャープとのクロスライセンス契約締結を発表するなど、海外メーカーとの技術契約を積極化している。(台北支局)

◎台湾のタオル業者、中国産の輸入規制求めデモ(2006年3月3日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾のタオル業界関係者が2日、台北市内で中国産タオル製品のセーフガード(緊急輸入制限)の早期発動を求める1000人規模のデモを行った。経済部(経済省)も同日、セーフガードに関する調査の一環として中国商務省の担当者を招いた公聴会を開くなど、タオル問題が中台貿易摩擦の火種となりつつある。
 デモにはタオル産地である台湾中部・雲林県の業界関係者らが参加。官庁街を巡り「陳水扁政権は(中国との経済交流を)積極管理しろ」などと訴えた。台湾では世界貿易機関(WTO)加盟前の2001年にゼロだった中国産タオルの域内シェアが、05年には7割に達したとみられる。
 セーフガード問題で中国当局者を呼んで事情を聞いたのは台湾のWTO加盟後、初めて。3月25日までに発動するか否かの結論を出す。財政部(財務省)も1日、中国産タオルのダンピング(不当廉売)調査に入ると発表したばかりだ。

◎「最大の責任者は蒋介石」 台湾「2・28事件」で研究書(2006年2月27日、産経新聞)
 1947年2月に国民党軍が台湾住民を武力弾圧した2・28事件から59年に当たって「事件の最大の責任者は蒋介石」と結論付けた研究書がこのほど台湾で出版された。
 総統府国史館(国史研究所)の張炎憲館長が中心になってまとめ、国民党政権下でタブーとされた「蒋介石責任論」が民主進歩党(民進党)政権下で初めて認定された。
 事件は、大陸から渡ってきた国民党政権の圧政や腐敗に対する不満から抗議行動を起こした本省人(台湾出身者)が武力弾圧され、推計1万8000〜2万8000人が殺害、処刑された。
 遺族らから「加害者があいまいなのはおかしい」との声が上がり、張館長らが3年前に研究に着手。事件当時、南京にいた国民党政府の蒋介石主席について(1)電報などで台湾の情勢を掌握(2)武力弾圧のため軍を大陸から派遣(3)弾圧を指揮した陳儀・台湾省行政長官を事件後、浙江省主席に昇進させるなど重用―などの根拠を挙げ「最大の責任者」と結論付けた。
 陳水扁総統は出版発表会で「独裁体制下で覆い隠されてきた歴史の真相を明らかにしていくことは、成熟した民主化への道だ」とあいさつした。(共同)

◎台湾:民進党が国旗や国名など議論、中国を刺激も(2006年2月17日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾与党の民進党は17日、陳水扁総統が08年の任期内までに制定を目指す新憲法党草案を巡り、議論の中で「『国旗』や『国号(国名)』、領土問題に触れることができる」との見解を発表した。陳総統は00年5月の就任時、中国が独立に向けた動きととらえる「国号」変更は任期中には実施しないと公約しており、与党内の議論は中国側を刺激しそうだ。
 陳総統は1月の春節(旧正月)に中台統一の道筋を定めた「国家統一綱領」の廃止や、「中華民国」ではなく「台湾」名での国連加盟の検討を表明した。「国家統一綱領」を廃止しないことも就任時の公約だった。陳総統の周辺から相次いで独立志向をうかがわせる政策が打ち出されている。
 民進党は、昨年末の統一地方選での大敗を受け、政権基盤の立て直しが急務となっている。民進党は「高い理想の原則の下、新憲法を推し進める。6月には台湾の身の丈にあった新憲法草案を提出したい」としており、新憲法論議を通じて支持回復を図る狙いがあるとみられる。中国は新憲法の制定自体を「法的な台湾独立」と反発している。

◎台湾の友達光電、「第7.5世代」液晶工場の生産拡大へ(2006年2月8日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の友達光電(AUO)は8日「第7.5世代」の大型ガラス基板を液晶パネルに加工する新工場の生産能力を大幅に引き上げると発表した。台湾中部の台中で2006年10〜12月に量産に入り、基板ベースで月産能力3万枚を予定していたが、07年6月までに同6万枚に高める。液晶テレビ向けのパネル需要が旺盛なためだ。
 同社は大型の液晶パネルで世界3位。第6世代以下の既存工場での増産も進めるため、06年の設備投資額は前年実績比で1割以上多い900億〜950億台湾ドル(約3200億〜3400億円)に増額する。サムスン電子など韓国2社や日本のシャープとの投資競争で互角に渡り合う形だ。
 AUOの第7.5世代ガラス基板は1.95×2.25メートルで42型テレビ用のパネルなら8枚製造できる。05年にはテレビ用パネルの世界シェアは15%前後だったもようだが、増産をテコに「20%を最低目標とする」(陳・総経理)としている。

◎台湾新幹線、電線泥棒が横行、高圧電流で対抗へ(2006年2月3日、朝日新聞)
 日本の新幹線技術が初輸出された台湾高速鉄道(台湾新幹線)の建設工事で、電線を切断して持ち去る電線泥棒が横行している。開業予定は当初より1年遅い今年10月に延びているだけに工事の進捗(しんちょく)に支障をきたすとして、2月中旬から全線に6600ボルトの高圧電流を流し、「泥棒よけ」に使う。
 事業を運営する台湾高速鉄路(台湾高鉄)や日本企業の連合体の台湾新幹線株式会社によると、高架線路横の側溝に張られた電線が昨年秋から高性能カッターで切断され始めた。照明など沿線機器に給電するための電線で、約350キロの沿線のあちこちで被害が出ている。現時点の被害額は約10億台湾ドル(約36億円)にのぼるという。
 切断後は周りの化学樹脂がはがされ、中の銅線が持ち去られている。警察当局は銅不足の中国大陸に売りさばくことを目的とした集団的な犯行とみている。
 これまでは試験走行区間(60キロ)だけに電気を通していた。台湾新幹線などは警察側に取り締まりの強化を求めるとともに、今春の予定だった全線通電を前倒しすることにした。

◎台湾方針11周年:胡主席、独自色を発揮(2006年1月30日、毎日新聞)
 【北京・飯田和郎】中国の江沢民前国家主席が在任中の95年、8項目の対台湾方針(江八点)を発表してから30日で、11年になった。ただ、今年の記念行事は低調で、代わりに胡錦涛主席が昨年3月に示した4項目意見(胡四点)がクローズアップされてきた。中国は台湾政策の主軸を江沢民時代の「早期統一」から「独立阻止」に修正、胡主席が台湾問題でも指導力を高め始めたことを反映している。
 中台筋によると、共産党はこれまで毎年、行ってきた党中央主催の江八点記念座談会を開かず、関係諸団体がそれぞれ行う決定を下した。
 江八点は、「中台統一への具体策を盛り込んだガイドライン」とされたが、「台湾政策の新思考」(李家泉・北京連合大教授)と評される胡四点の特徴は「台湾人民に希望を託する」との表現どおり台湾の陳水扁政権ではなく、主に市民へ呼びかけたことだ。
 胡主席は1月14日、台湾対岸の福建省アモイにある台湾企業区を訪れ、台湾人企業家らに「台湾同胞に有益なことなら、必ずやる」と約束した。パンダの贈呈計画や中国での台湾市民の活動に便宜を図る政策を次々と打ち出していることも、胡四点に基づく。
 背景には中台情勢の変化がある。年平均10%の経済成長を続け、国際地位を高める中国に対し、台湾では貿易・投資の対中依存度が増している。中国側は独立志向を持つ陳水扁政権の対中国政策が手詰まり状態にあると判断。台湾の民心を引きつけて中台関係の主導権を握ることが「平和統一」への近道になるとの計算がある。
 中国メディアは「胡四点は江八点を継承・発展させたもの」と評するが、胡錦涛体制の基盤強化とともに、胡四点が中心になっていくとの見方が、中国の台湾問題研究者の間では有力だ。
 胡主席は地方政府の指導部人事などで独自色を出しつつある。中国が対米、対日外交で「最も重要で最も敏感」と位置づける台湾問題でも、独自性を発揮することは自身の権威向上に役立つとともに、日米両国へのけん制にもなりそうだ。

◎台湾:タラバガニ密輸船を摘発、総額7000万円(2006年1月24日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾でタラバガニを密輸しようとした漁船が24日までに、台湾の海上保安庁に当たる行政院海巡署に摘発され、1万匹以上のタラバガニが押収された。漁船の船長は「公海上で日本漁船から受け取った」と供述しているが、実際の産地は不明。このまま産地が分からなければ、押収された大量のタラバガニは廃棄処分となる可能性が高い。
 同署によると、密輸しようとしていたのは台湾南部の高雄に船籍を持つ漁船。22日夜に高雄港沖の海上でパトロール艇が不審船を発見し調べたところ、2074個もの発泡スチロールの箱に入ったゆでたタラバガニが見つかった。1箱に6〜7匹入っており、重量は計1万6000キロ。市場価格は1匹当たり約2000台湾ドル(約7000円)にもなる。
 同署は「ロシアから中国を経由して密輸し、産地をごまかしている可能性も排除できない」としており、このまま産地が分からなければ、押収したタラバガニの安全性の確認を行うことができないため、競売などにはかけられないという。
 台湾では、タラバガニは「帝王蟹」と呼ばれ、ゆでカニや鍋料理の食材となる。日本への旅行で人気の高い北海道の代表的な味覚のイメージがある。

◎台湾の空港専用鉄道、丸紅などが910億円で受注(2006年1月13日、朝日新聞)
 丸紅は12日、川崎重工業や日立製作所と共同で、台湾交通部(交通省)の高鉄局から台北郊外の中正国際空港と台北市内を結ぶ空港専用直通鉄道の建設を受注したと発表した。受注額は約910億円。国際入札による空港専用鉄道プロジェクトでは世界最大級という。
 香港やマレーシア、ソウルなどアジアの空港専用鉄道はこれまで欧州勢が独占しており、日本企業が手がけるのは初めて。今回も独シーメンスや仏アルストムの各グループが応札したが、競り勝った。
 専用鉄道は台北駅から空港を経由し、桃園県中●市までの全長51.2キロ。21駅あり、車両123両、軌道、信号、車両基地などを一括して請け負う。全線開通は13年9月の予定。今秋の開業を予定する台湾新幹線の桃園駅にも乗り入れる。
(●は「土(つちへん)」に「歴」)

◎台湾民進党が地方選大敗、党主席が辞意表明(2005年12月4日、朝日新聞)
 台湾の23県市の首長(任期4年)を選ぶ地方首長選挙は3日、投票が行われ、即日開票の結果、陳水扁(チェン・ショイピエン)政権を「無策」と批判し、中国との和解促進を主張した最大野党・国民党が14県市を押さえ、現有ポストを大幅に上回った。全有権者の約2割を抱える最大選挙区の台北県でも勝利した。陳総統らが支援した与党・民進党候補の当選は6県市にとどまった。民進党の蘇貞昌(スー・チェンチャン)主席は同日夜、記者会見で「大敗」と認め、辞意を表明した。
 直轄市の台北、高雄市を除く地域で、台湾の全有権者の8割近くを対象として実施された。地方選とはいえ、最終盤では「対中政策」が大きな争点になった。
 中央選管によると、政党別の獲得首長ポストは、民進党6(現有10)、国民党14(同8)、親民党1(同1)、新党1(同1)、無所属1(同3)。全土を通じた投票率は前回と同じ66%。
 民進党は、過去16年間、県長ポストを守ってきた台北県で敗退したうえ、伝統的に同党支持層が多く「民主の聖地」と呼ばれた北東部の宜蘭県、中部の嘉義市も失った。台南県・市、高雄県などの南部の地盤をかろうじて守った。
 一方、国民党候補は選挙結果が08年総統選挙のカギを握るとされた台北県でも差をつけた。総統選有力候補の馬英九(マー・インチウ)主席を擁する同党支持者の間で、政権奪還に向けた動きに弾みがつきそうだ。
 今春に連戦(リエン・チャン)国民党主席(当時)ら野党首脳が中国大陸を訪問し、胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席と会談して以降初めての大型選挙で、同党側は選挙戦でも「対中和解の促進」を訴えた。一方、対中政策などで手詰まりが続く民進党側は陳総統に近い要人の汚職疑惑も不利に働いた。「国民党による対中交流は統一への道」とも呼びかけたが、劣勢を挽回(ばんかい)できなかった。
 中国国営の新華社通信は3日夜、台湾の地方首長選の結果を速報し、「特級の大型県」である台北県を失ったと伝えた。

◎台湾新幹線が試乗式・行政院長ら、時速300キロを体験(2005年11月6日、日本経済新聞)
 日本の新幹線システムで台北―高雄間を結ぶ「台湾新幹線」の事業会社、台湾高速鉄路は6日、南部の台南駅を起点に試乗式を開いた。謝長廷行政院長(首相)ら高官や報道陣が時速300キロの高速走行を台湾で初めて体験した。台湾高鉄は工事の遅れで9月、2006年10月末まで1年間遅らせた開業に支障がないことをアピールした。
 試乗車両は同日午前、実際の営業路線となる台南駅付近の約57キロの線路を往復し、このうち約6分間を時速300キロで走行した。京都大学に留学していた30数年前に初めて新幹線に乗ったという謝院長は「台湾でこんなに快適で速い列車に乗ることができ、かなり興奮している」と感想を語った。
 JRの東海道・山陽新幹線の「のぞみ」で使われる700系をベースに製造した車両の内装や走行時の揺れ、騒音などは日本とほぼ同様だった。台湾新幹線は主に島の西側の平野部を走るため、時速300キロで運転できる区間の比率は東海道・山陽新幹線よりも高いという。

◎台湾新幹線:試乗走行で時速300キロ達成(2005年11月6日、毎日新聞)
 【台南県(台湾南部)庄司哲也】日本の新幹線システムが初めて採用された台湾高速鉄道(台湾新幹線)の試乗走行が6日、台湾や日本の関係者、内外の報道陣を招いて行われた。乗客を乗せて初めて営業最高速度の時速300キロを達成した。
 試乗走行は南部の台南県六甲郷−高雄県大社郷間の58キロの区間で実施された。山陽新幹線「のぞみ」型車両を改良した700T型車両(12両編成)は発車後、徐々に速度を上げ、6分ほどで時速300キロに到達。車両は大きな揺れも騒音もなく、安定した走行を続けた。
 日本留学経験のある台湾の謝長廷行政院長(首相)は「30年前に日本で初めて新幹線に乗った時のことを思い出した。小学生のころの遠足のようにわくわくした」と感想を語った。
 台湾新幹線は当初、今年10月末の開業を目指していたが、主に日本企業が受注している機械電気システムの工事の遅れなどのために開業予定が1年延期されている。

◎台湾の奇美電子、06年のTV用液晶パネル出荷1000万枚に(2005年11月3日、日本経済新聞)
 【台北支局】台湾の液晶パネル大手、奇美電子は3日、2006年の自社のテレビ用パネルの出荷量を1000万枚とする方針を明らかにした。05年の出荷量見通し(550万枚)を約8割上回る積極的な計画だ。何昭陽総経理が投資家向け決算説明会で語った。
 何総経理は06年の業界全体のテレビ用パネル需要も4200万枚と、05年見通し比で約8割増える好況が続くと予測。奇美も増産で出荷を増やし、「2割以上の世界シェア確保を続ける」と述べた。

◎台湾:セネガルと断交(2005年10月26日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾外交部(外務省)は25日、中国政府が西アフリカ・セネガルとの国交を樹立したのに伴い、同国と断交したことを発表した。これで台湾と外交関係を持つ国は25カ国となった。台湾はセネガルと一度、断交した外交関係を96年1月に回復していた。
 台湾外交部は同日夜、緊急の記者会見を開き、「中国が金銭的な誘惑と圧力によりセネガルとの国交を回復した。台湾の主権と尊厳において、セネガルとの外交関係を中止するとともに一切の援助計画を停止する」と声明を発表した。

◎台湾:「光復節」、陳総統が中国側を批判(2005年10月25日、毎日新聞)
 中国政府が行った「光復節」の式典に対し、台湾の陳水扁総統は25日、台湾から式典に出席した者を批判するとともに「それは喜ばしい光復ではない。統一工作による『返還』だ」と、中国側の統一攻勢をけん制した。
 台湾では00年の政権交代後、「光復節」の見解が割れており、独立志向とされる与党・民進党政権は、単に日本の植民地支配を離れたという見方なのに対し、最大野党の国民党などは、当時の国民党政権下の中国に返還されたとの立場を取っている。このため、中国側とは対照的に台湾政府は60年目の節目となる「光復節」を祝う大きな活動は実施しなかった。
 陳総統はこの日、台湾で開かれる安全保障フォーラムに参加する日米の参加者と会見し、光復節について「光復の最も重要な意義は、台湾の人々が自らが台湾の主となったことだ。台湾の歴史観では絶対に返還ではない」と述べ、中国側が主張する台湾の祖国復帰を明確に否定した。
 一方、中国との協調を重視する国民党の馬英九主席は、台湾紙「中国時報」に寄せた文章の中で、「台湾の抗日運動は中国大陸の抗日運動と切り離すことが出来ず、双方は互いに支援し合い、肩を並べあった」と中国とのつながりを強調した。

◎台湾:台湾ドルと人民元の交換業務、台湾本島に拡大(2005年10月25日、毎日新聞)
 台湾行政院(内閣)は24日までに、中国大陸に近い離島の金門、馬祖両島で10月から始まった台湾ドルと人民元の交換業務を、台湾本島に拡大する方針を固めた。国際空港や港湾などで試験的に実施し、台北市や南部の高雄市など大都市に広げ、早ければ来年初めにも実施する。
 台湾紙「聯合報」によると、両島と同様に1回2万元(約28万円)の上限が設けられる見通し。両島では現在、1日当たり平均で約100万元の取引が行われているという。【台北支局】

◎イチロー選手、台湾で提訴、肖像権侵害で(2005年9月29日、産経新聞)
 米大リーグ、マリナーズのイチロー選手が28日、広告で肖像権を侵害されたとして台湾のスポーツ用品メーカーに損害賠償などを求める訴訟を台北地方法院(地裁)に起こした。地元メディアによると、請求額は1億台湾元(約3億4000万円)。
 イチロー選手は同日、代理人を通じて訴状を提出。代理人によると、このメーカーは過去2年間、バスの車体や雑誌広告に無断でイチロー選手の写真などを使用。これまで中止を求めてきたが、受け入れられなかった。(共同)

◎台湾:与党連合支持者ら、米国製武器の早期購入求めデモ(2005年9月25日、毎日新聞)
 台湾で民進党など与党連合の支持者らが25日、米台間の懸案となっている米国製武器の早期購入を求める大規模デモを台北市内で実施した。主催者集計で5万人が参加。中国の軍事力増強が伝えられる中、デモ参加者は「防衛の強化が、台湾を守る」などと訴えた。【台北支局】

◎台湾の海外からの製品受注高、8月は22.7%増(2005年9月23日、日本経済新聞)
 台湾の経済部(経済省)が23日発表した8月の海外からの製品受注高は、221億5100万ドルと前年同月比で22.7%増加した。8月の工業生産指数(2001年=100)は135.78と同5.92%上昇した。世界的なハイテク景気の回復で半導体、ノート型パソコンなど電子・電機関連の需要が旺盛で、製品受注高、工業生産指数とも単月としての過去最高を記録した。(台北支局)

◎台湾:軍民共用空港内を撮影しようとした日本人観光客聴取(2005年9月22日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】台湾で旅客機の窓から軍民共用の空港内をデジタルカメラで撮影しようとした日本人観光客の男性が21日、台湾の法律に違反した疑いがあるとして警察当局に事情聴取された。
 台湾紙「自由時報」によると、男性は21日午後、台湾東部の花蓮空港から松山空港(台北市)に向かう途中、機内の窓から花蓮空港に駐機していた戦闘機を撮影しようとした。これに気付いた隣の座席の台湾軍中佐が制止した。中佐は台北到着後に警察に届け出た。男性は実際には撮影していなかったため、事なきを得たという。男性は団体旅行で初めて台湾を訪れていた。

◎8月の台湾失業率、4.36%(2005年9月22日、日本経済新聞)
 台湾の行政院主計処(統計局などに相当)が22日発表した8月の失業率は4.36%で、前月に比べ0.04ポイント上昇した。大学などを卒業したばかりの求職者の増加のため4カ月連続で雇用情勢が悪化したが、主計処は「新卒者の職探しが一段落する9月には失業率は下落に転じる」としている。(台北支局)

◎台湾新幹線:開業を1年間延期、来年10月末に(2005年9月8日、毎日新聞)
 【台北・庄司哲也】日本の新幹線システムが初めて採用された台湾高速鉄道(台湾新幹線)について、同鉄道の殷キ会長は8日、今年10月の開業予定を1年間延期し、来年10月末とすることを発表した。
 台湾新幹線は台北と台湾南部の高雄間の約345キロを最高時速300キロ、最速1時間半で結ぶ計画。車両は東海道・山陽新幹線「のぞみ」型車両を改良した700T型が導入されている。総事業費は日本円で約1兆6000億円に上り、三井物産、三菱重工などが出資する日本の企業連合が機械電気システムを請け負い、2000年に建設がスタートしていた。
 しかし、新幹線技術や車両など機械電気システムに日本だけでなく欧州のシステムも取り入れたため混乱し、設計や仕様の修正が相次ぎ、工事が遅れていた。
 会見した殷会長は「工事の進行状況、システム試験や営業運転準備などの状況を分析し、延期を決めた。延期による違約は発生しない」と話した。

◎台湾新幹線、開業1年延期 工事遅れで来年10月に(2005年9月8日、産経新聞)
 日本が初めて新幹線システムを輸出した台湾高速鉄道(新幹線)の事業主体である台湾高速鉄道の殷h会長は8日、記者会見し、工事の遅れのため、今年10月末に予定していた開業を1年間延期し、来年10月末の開業を目指すと発表した。
 日本の企業連合が請け負った機械電気システムの工事遅れが主因。営業開始の延期で同社の資金繰りなどに問題が生じる恐れもあり、日台間にしこりが残る可能性も出てきた。
 高速鉄道は台北―高雄間(約345キロ)を約1時間半で結ぶ。川崎重工業や三井物産など日本連合7社が新幹線の心臓部分に当たる機械電気システムを受注した。
 しかし、台湾高速鉄道で設計や検査・監督をするスタッフは欧州勢が多く、日欧の技術陣の意見がかみ合わないことから工事が遅れ、今年7月末現在、進ちょく率は60%にとどまっている。(共同)

◎1日は全土で休みの措置、台風13号が横断(2005年9月1日、NNA BUSINESS)
 台風13号(タリム=泰利)が上陸した影響で、1日は金門県を除く全土の各自治体で公共機関、企業、学校の休みの措置が取られている。株式市場も休場となり、経済活動はまひ状態だ。
 交通にも大きな影響が出ている。空の便は、中華航空(チャイナエアライン)が午前中の出発便をすべて取り消し、到着便も午後以降とした。各社とも同様の措置を取っており、最初のフライトは早くても午後3時以降になりそうだ。域内線は遠東航空(ファーイースタン・エアー・トランスポート)がきょう全便の欠航を決定したほか、復興航空(トランスアジア・エアウエイズ)、華信航空(マンダリン・エアラインズ)、立栄航空(ユニ・エアー)が午後6時までの全便を欠航する。台湾鉄路(台鉄)も終日運転を見合わせる。
 中央気象局によると、台風13号は1日未明に宜蘭と花蓮の中間付近に上陸し、勢力を弱めながら台湾島を横断し、台中付近から台湾海峡に抜けた。午前10時時点で北緯24.5度、東経120.2度の台中の西北約60キロの海上にある。

◎シャープ、台湾液晶メーカーと特許相互利用(2005年7月8日、日本経済新聞)
 シャープは7日、台湾液晶大手の友達光電(AUO)とパソコン用液晶パネル技術で、保有特許を互いに使えるクロスライセンス契約を結んだことを明らかにした。期間は今年7月から2010年6月末までの5年間。シャープは戦略製品である液晶テレビ向けパネルの特許では防衛姿勢を強めているが、パソコン向けは他社に供与しても国際競争力は低下しないと判断、製品特性を踏まえた柔軟な戦略を採る。
 パソコン用液晶パネルに使うTFT(薄膜トランジスタ)形成などの特許が中心になるもよう。シャープは現在、65型テレビを筆頭に大画面テレビ用液晶パネルの開発や生産に液晶事業を集中している。今年6月にはAUOが20%出資していた富士通の液晶子会社を買収。富士通が所有する「VA方式」と呼ぶテレビ用液晶表示技術を確保した。

◎台北の料理店、台湾人十数人に殴られ日本人5人けが(2005年6月25日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾の台北市の繁華街・万華地区の海鮮料理店で23日夜、日本人団体観光客7人が、台湾人客十数人にビール瓶や鉄パイプなどで殴られ、5人がけがをした。うち1人は左腕を骨折した。
 日本の対台湾窓口、交流協会台北事務所によると、日本人観光客が食事を終えて談笑していたところ、近くにいた台湾人客が、「日本人にののしられた」と誤解して、殴ったという。
 地元警察は、「台湾人客の代表が示談金を支払って決着した」と説明。一部台湾紙は、尖閣諸島の領有権問題がけんかの原因と見られると伝えたが、同警察は「事実ではない。お互い言葉が通じなかったのだから」と否定した。

◎台湾、尖閣諸島近くへフリゲート艦派遣(2005年6月21日、朝日新聞)
 台湾海軍のフリゲート艦1隻が21日午前9時ごろ(日本時間同10時)、宜蘭県蘇澳(スー・アオ)の軍港を出港し、日本が最近台湾漁船の操業取り締まりを強化している尖閣諸島(中国名・釣魚島)近くの海域に向かった。「視察のため」としており、李傑・国防部長(国防相)や王金平立法院長(国会議長)らが乗船している。
 伝統的な漁場を日本に閉め出されたと不満を強める台湾漁民に配慮した措置。「当局の日本への弱腰」を非難する声が台湾内に高まっているため、強硬姿勢を示す狙いもある。
 フリゲート艦は宜蘭から北東約110キロの海域を視察する予定。現場海域では、今月上旬、台湾漁船約50隻が日本に対する抗議活動を行った。
 大野防衛庁長官は21日の記者会見で、台湾国防部がフリゲート艦を日本の排他的経済水域(EEZ)近くに派遣すると発表した問題で、日本政府が台湾側に「無用の緊張を高めるので冷静に対処してもらいたい」と申し入れたことを明らかにした。大野長官によると、台湾側からは「挑発する意図は全くない」と説明があったという。
 今月はじめには、日本政府が台湾漁船への操業取り締まりを強化していることに抗議するため、台湾漁船が尖閣諸島近海に集結、日本の巡視船を取り囲む騒動があった。
 一連の動きについて大野長官は「日本側で決めたEEZと台湾の暫定水域とが一致していないことが背景だ」と述べた。

◎台湾で「100万人」デモ、反国家分裂法に抗議(2005年3月27日、朝日新聞)
 台湾独立を阻止しようとする中国の「反国家分裂法」の成立に抗議する大規模デモが26日、台北市であった。陳水扁総統が「100万人参加」を呼びかけ、主催した与党民進党は「目標に近い人数が集まった」としている。
 同市内では史上最大の規模となったデモは、「台湾の将来は台湾人が決める」を示す狙い。陳総統や李登輝前総統も参加した。中国を刺激して中台関係が一層悪くなるのを避けるため、政治家の演説は自制。代わりに「台湾は赤ちゃん。大切に守り育てよう」という歌を最後に大合唱して気勢を上げた。
 参加した台北の医師孫艶芳さん(50)は「中国に公然と侵略を予告され、黙っているわけにはいかないので参加した」と話した。

◎台湾新幹線が試運転開始、数カ月遅れで初公開(2005年1月27日、産経新聞)
 今年10月の開業を目指す台湾高速鉄道(新幹線)の試運転が始まり、日本の東海道新幹線「700系」をベースにした流線形の「700T」が走行する様子が27日、南部の台南駅で公開された。試運転開始は当初、昨年秋の予定だったが、送電工事の遅れで延期された。
 試運転はJRのベテラン運転士が担当し、日本から昨年5月に搬入された車両のうちの1編成(12両)が、高雄−台南間約60キロの試験区間を時速約30キロでゆっくりと走行。今後は徐々に速度を上げ、最高時速300キロでの走行も試す。
 台南駅のホームで行われた記念式典で、台湾高速鉄道の殷h会長は「(試運転開始は)台湾の高速鉄道だけでなく、日本の新幹線システムにとっても重要な節目だ」とあいさつした。
 台北−高雄間(約350キロ)を約1時間半で結ぶ新幹線は、川崎重工業や三井物産など日本連合7社が1999年、車両を含め運行全般にかかわる主要部分を受注。
 しかし軌道の一部などにドイツなど欧州の技術を導入するため、新幹線システムとの違いから新たな技術が必要となり、予算増や人材不足が指摘されている。10月の開業予定も来年以降にずれ込むとの見方が出ているが、殷会長は「(予定通りの開業に向け)全力を尽くしたい」と語った。

◎住友化学、液晶関連事業に100億円投資・台湾に新工場(2005年1月20日、日本経済新聞)
 住友化学は液晶パネル関連部材を中心とする情報電子化学部門に約100億円を投資する。中核部材である液晶カラーフィルターの新工場を台湾に設けるほか、韓国では同部材を3割増産。日韓の生産拠点に研究開発センターも新設する。液晶パネルは昨夏から需給調整が続いているが、同社は中長期的には大幅な需要増を見込み、経営資源を積極的に投入する。
 台湾で生産するのは携帯電話向けに需要が伸びている「第二世代」と呼ばれる小型液晶パネル用のカラーフィルター。約50億円を投じて、台北郊外の新竹科学工業園内に月産5万枚の工場を9月に完成させる。需要家である台湾の大手液晶パネルメーカーの既設クリーンルームを利用するため、建設費を40億円程度節減できるという。

◎中国と台湾、春節直行便で合意、中国機が初めて台湾へ(2005年1月15日、朝日新聞)
 中国と台湾の航空当局者は15日、マカオで協議し、2月9日の春節(旧正月)に合わせて双方の航空会社がチャーター便を乗り入れることで合意した。台湾海峡の安定をアピールしたい両者の思惑が一致したもので、中国機が台湾に乗り入れるのは、49年の中台分断以来、実質的に初めてとなる。これを機に途絶えていた中台間の対話が復活するかどうかが、注目される。
 今回の協議は、中台双方の交通当局の航空担当幹部が民間団体職員の身分で出席、異例の当局者同士の直接交渉となった。2時間にわたった協議の後に開かれた共同記者会見で、浦照洲・中国民航協会常務理事は「友情のこもった雰囲気のなか、我々は短時間で合意に至った」と述べた。
 中台間を結ぶ航空便は、03年の春節に台湾機がチャーター便として旅客を乗せずに香港、マカオを経由して上海に乗り入れ、帰省客を乗せて戻ったのが、49年の中台分断以来最初となった。04年は中台関係の緊張から見送られた。
 今回合意されたのは、今月29日から2月20日にかけて、中国の中国国際航空や台湾の中華航空など、中台双方のそれぞれ6社が合計48便を運航するという内容。主に大陸で暮らす台湾人ビジネスマンらの里帰りに利用されるとみられる。発着地点は、中国側が北京、上海と広州、台湾側が台北と高雄。上海−台北だけだった前回より拡大した。「軍用機との識別が困難」とする台湾側に配慮し、着陸はしないが香港の空域を経由する。

◎台湾の宿泊施設がコンドーム常備へ、エイズまん延防止(2005年1月15日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾の中央通信によると、ホテルや旅館などの宿泊施設に対して、コンドーム常備を義務づける「エイズ予防法案」が14日、立法院(国会に相当)で可決され、成立した。
 施行時期は未定。エイズのまん延を防止するためで、違反した施設は、最高15万台湾ドル(約50万円)の罰金が科せられる。
 宿泊客にコンドームを無料で配布するか、販売するかはそれぞれの宿泊施設が決める。
 陳建仁・行政院(内閣)衛生署署長は、「エイズ予防のためには、性行為すべての過程でコンドームを使用することが大変重要だ。宿泊施設を頻繁に利用する者にとってコンドームの必要性は高い」と、法律の趣旨を説明した。

◎台湾・陳総統、民進党主席を辞任、柯氏が暫定代理主席(2004年12月15日、朝日新聞)
 台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)総統は14日に開かれた民進党中央常務委員会で、同党主席を辞任した。国会にあたる立法院選挙で、目標としていた与党連合としての過半数獲得を達成できず、野党に敗北したことに対する責任を取った。
 選挙中に「台湾新憲法」の日程に言及し、「公営企業の名に付いている『中国』を改める」と主張したことなどが、中台関係の悪化を嫌う中間層の離反を招いたとみられている。さらに、与党連合を組む台湾団結連盟(台連)との調整不足が、陣営内に亀裂を生んだとも指摘されている。陳氏は「あらゆる批判や非難を引き受ける」「急ぎすぎたのではないかと反省している」と述べた。
 陳氏は、02年7月から総統と党主席を兼務し求心力を強めた。党主席辞任に伴って来年2月の党員による党主席選挙まで、立法院同党議員団リーダーの柯建銘(コー・チエンミン)氏が暫定代理主席を務める。
 陳氏は今後、総統職に専念する考えを示すとともに、「台湾内の団結や両岸(中台)関係の安定のために尽くす」と語った。

◎台湾:陳総統が党主席を辞任へ、選挙敗北で引責(2004年12月14日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾の陳水扁総統は13日夜、与党連合が敗北した11日の立法院選の責任を取り、兼務する民進党主席を辞任する意向を同党幹部に明らかにした。14日の党常務委員会で正式表明し、了承される見通し。党主席辞任は、支持者に敗北のけじめを示すためとみられる。
 後任はすぐには決めず、党規約に従って暫定的に呂秀蓮副総統を代理主席に起用する案が浮上している。来年前半にも、党内選挙を実施し、後任主席を正式に選出する。
 民進党と台湾団結連盟(台連)で構成する与党連合は立法院選で過半数(113議席)獲得を目指したが、合計で101議席に終わった。

◎台湾総統が党主席辞任へ(2004年12月14日、産経新聞)
 中央通信によると、台湾の陳水扁総統は13日、11日の立法委員(国会議員、定数225)選挙で敗北した責任を取り、兼務していた与党、民主進歩党(民進党)の主席を辞任する意向を明らかにした。
 14日に開かれる同党中央常務執行委員会で正式に表明する予定。党幹部らは慰留したが、陳氏は「1人で全責任を負う」と語り、辞意は固いという。
 同委員会は陳氏に代わる主席代行の選出方法について協議する。陳氏は2002年7月、党主席に就任。党主席ポストは党と政府の調整役であることなどから、辞任しても総統として政権を運営する上で大きな影響はない。
 民進党は陳氏が再選された今年3月の総統選の勢いに乗り、立法院(国会)での過半数獲得を目指し、候補者を多く立てたが、一部選挙区では票を食い合い、共倒れに終わった。
 陳氏が選挙戦終盤で打ち出した在外代表部や公営企業名に「台湾」を付ける「正名(名前を正す)」計画などについても、党内からは国の将来戦略が問われる総統選と異なり、「地方の利益が重視される立法委選と直接関係のないテーマを強調しすぎた」との批判が出ていた。(共同)

◎台湾立法院選、与党が敗北、野党、過半数制す(2004年12月12日、朝日新聞)
 台湾の一院制国会にあたる立法院選挙(定数225)が11日、投開票された。中央選挙管理委員会によると、民進党など与党連合が計101議席と伸び悩んだ一方、国民党など野党連合は計114議席に達し、過半数を制した。3月の総統選挙で再選された陳水扁(チェン・ショイピエン)総統は過半数獲得による政権基盤の強化を目指していたが、失敗した。
 陳氏は選挙期間中、中国が反発している「台湾新憲法」づくりの日程にも言及し、「自立路線の推進」を訴えたが、今後は政局運営の見直しを迫られそうだ。陳氏の動きを警戒していた中国との関係も注目される。
 確定投票率は59.2%で過去最低だった。民進党は89議席(改選前80議席)を獲得して引き続き第1党になったが、与党連合を組む台湾団結連盟(台連)が12議席(同12)にとどまった。
 陳総統は選挙期間中、「06年12月に台湾新憲法の草案を住民投票で決め、08年5月に施行する」「公営企業の名についている『中華』『中国』を改める」と急進的な訴えを続けたが、中国とのトラブルを嫌う中道層の離反を招いたとみられる。
 また、3月の総統選勝利の勢いに乗じて候補者を積極的に擁立したことが、同じ選挙区で与党同士がつぶし合う結果も招いた。陳氏は同夜、「敗北の責任は私にある」と述べた。
 一方、前回選挙で大敗し、党勢が長期低落傾向にあった国民党は79議席(同66)に躍進。候補者調整や「票割り」も功を奏したとみられる。第2野党の親民党は34議席(同44)だった。
 国民党の連戦(リエン・チャン)主席は同夜、「台湾の有権者は発展と同時に安定を希望している。我々は両岸(中台)関係で正しい道を歩む」と勝利宣言した。
 政党別得票率は民進党35.7%、国民党32.8%、親民党13.9%、台連7.8%だった。有権者数は1650万人だった。

◎台湾、新幹線で欧州勢に6500万ドル支払いで和解(2004年11月26日、読売新聞)
 【台北=石井利尚】台湾版新幹線「台湾高速鉄道」(台北〜高雄)の事業会社「台湾高速鉄路公司」は26日、「日本企業連合が車両システムを受注したのは合意違反」と主張していた独仏企業の「欧州高速鉄路連盟」(ユーロトレイン)に対し、6500万ドル(約67億円)を支払うことで和解した。
 車両システム受注をめぐっては、1997年に欧州側が優先交渉権を得ていたが、三菱重工など日本企業連合が巻き返し、2000年12月に台湾側と正式調印した。欧州側は合意違反として賠償を求め、国際ビジネス紛争の仲裁機関・国際商業会議所(ICC)に仲裁を申請していた。

◎バヌアツが台湾との外交関係樹立を承認(2004年11月15日、産経新聞)
 ニュージーランド放送などによると、南太平洋の島国バヌアツの首相報道官は15日、内閣が台湾との外交関係樹立を承認したと明らかにした。
 バヌアツはこれまで中国と国交を持ち「一つの中国」の原則を支持してきたが、報道官は「バヌアツは台湾、中国と関係を維持する最初の国になりたい」と表明した。
 中国は国交のある国には「一つの中国」の原則を求めており、バヌアツと台湾との外交関係が確認されれば、バヌアツと断交するとみられる。
 バヌアツのボール首相は今月3日、台湾で外交関係樹立文書に調印した。しかし、事前に内閣の承認を得ていなかったためほかの閣僚らが反発、説得工作を続けていた。(共同)

◎台湾でM6の地震(2004年11月11日、産経新聞)
 台湾の中央気象局によると、11日午前10時16分(日本時間同11時16分)ごろ、台湾の宜蘭県蘇澳の東南46.8キロの海底を震源とするマグニチュード(M)6の地震が起きた。震源の深さは13.9キロ。
 宜蘭県、花蓮県で震度4、台北市などで震度2を記録したが、被害の情報は入っていない。(共同)

◎台湾総統選:当選無効訴訟判決、野党の請求棄却(2004年11月4日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】3月の台湾総統選で小差で敗れた連戦・国民党主席らが陳水扁総統、呂秀蓮副総統の当選無効を求めて起こした訴訟の判決言い渡しが4日、台湾高等法院(高裁)であった。同高裁は「陳総統らが不正行為をした証拠はない」として連氏らの請求を棄却した。連氏側は判決を不服とし最高法院(最高裁)に控訴する方針。
 高裁は閉廷後、(1)再集計の結果、陳氏の得票が連氏を約2万5600票上回っていた(2)連氏側は投票前日の陳総統銃撃事件を「自作自演」と主張するが、証拠がない(3)総統選と住民投票の同時実施は当選無効の理由にならない、などと説明した。
 連氏は当選無効訴訟のほかに、中央選管を相手取り総統選そのものの無効を求める訴訟も起こしている。

◎台湾:バヌアツと外交関係を樹立(2004年11月3日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾外交部(外務省)は3日、南太平洋の島国バヌアツと同日付で外交関係を樹立したと発表した。台湾が外交関係を持つ国はこれで27カ国になった。
 バヌアツは人口約20万人。陳水扁総統は同日、「双方は共に海洋国家であり、民主や自由、平和への価値観を共有している」と述べるとともに、バヌアツの漁業分野の発展を支援する意向を明らかにした。

◎台湾新幹線、試運転を2カ月延期、開業時期に影響も(2004年11月3日、朝日新聞)
 日本の新幹線システムが海外で初採用された台湾高速鉄道(台湾新幹線)の試運転が2カ月程度延期されることになった。事業主体の台湾高速鉄路公司(台湾高鉄)が2日、明らかにした。日本の企業グループが請け負っている電気や信号など中心システムの整備の遅れが影響しており、来年10月に予定されている開業時期がずれ込む懸念も出てきた。
 試運転は、10月末までに、高雄の燕巣・総合車両工場付近から台南付近までの約60キロ区間で始める計画だった。延期の理由について台湾高鉄は「機械電気システムの請負メーカー(日本企業)の作業が遅れているため」(スポークスマン)と説明。12月末を新たな試運転時期としている。
 関係者によれば、試運転に向けた、電力システムなどの認証を得ることに手間取っている。認証は台湾高鉄に加え、高速鉄道プロジェクト全体を監視する独立検査機構からも受けなければならない。
 これらには欧州の認証基準が適用され、実際に高鉄の欧州人スタッフや欧州のコンサルタントが担当している。このため「日本の新幹線を輸出したといっても、その安全性や性能を、欧州の基準で欧州人に向けて極めて厳密に証明しなければならない」(関係者)という。
 台湾新幹線は80年代後半の計画立案後、フランスなど欧州の高速鉄道システムの採用が一貫して有力視され、98年には実際に欧州連合が台湾当局に事業権を認められた。翌99年、日本の新幹線システムが逆転する形で採用されたが、事業全体の枠組みは依然として欧州基準で組み立てられている。今回の試運転の延期によって、こうした枠組みでの「新幹線輸出」の難しさが顕在化した。

〈台湾新幹線〉
 台北と高雄間の約350キロを最短90分で結ぶ(在来線は約4時間半)計画。車両を川崎重工業が、信号・通信などを三菱重工業が、変電・運行管理システムなどを東芝が、それぞれ受注。3社に三井物産、三菱商事、丸紅、住友商事を加えた7社の日本連合が中心システムを請け負う。

◎台湾でもM7の地震(2004年10月15日、日本経済新聞)
 【台北15日共同】台湾の中央気象局によると、15日午後零時8分(日本時間同1時8分)ごろ、台湾北東部・宜蘭の東方109.8キロの海底を震源とするマグニチュード(M)7の地震が発生した。震源の深さは59キロ。震源は沖縄県与那国町などの地震と同じとみられる。
 宜蘭、花蓮で震度5、台北、台中などで震度4を記録した。負傷者がいたかどうかなどは不明。台北市内の地下鉄とモノレールが運行を停止した。〔共同〕

◎中国との対話に譲歩姿勢示す、台湾・陳総統(2004年10月11日、朝日新聞)
 台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)総統は10日、中断したままの中国との直接対話について、中国側が求めている対話再開の条件を受け入れる姿勢を示した。対話再開の流れを作るために譲歩したとの受け止め方が台湾で広がっている。
 辛亥革命記念日の「双十節(建国記念日に相当)」祝賀式での演説で、陳総統は「両岸(中台)は92年の香港会談を基礎として対話に向けた準備を進めることができる」と述べた。双方の交流機関が中台対話の前提を話し合った「香港会談」では、中国側によれば「お互いが一つの中国の原則を守る」ことが合意された。
 「一つの中国は認めない」との立場だった陳総統が、今は野党の国民党政権時代に行われた同会談を評価するのは初めて。約5年間中断している対話再開の条件として中国側は「香港会談を認める」ことをあげていたが、初めてこれに応える形ともなった。

◎台湾企業、中国投資で明暗・建材や素材は好調(2004年9月12日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】台湾の上場企業による中国事業の収益が明暗を分けている。2004年1〜6月期の対中投資の収益状況によると、固定資産投資の伸びを背景に建材・素材メーカーなどが大幅増益となる一方、供給過剰が懸念される自動車関連は軒並み減益となった。中国が金融引き締めに動く中で、進出企業の対応は難しさを増している。
 好調が目立つのは不動産、社会インフラなどの固定資産関連。電線・ケーブルの華新麗華は7億4400万台湾ドル(約24億円)と前年同期比で375.3%の増益だった。浴槽の和成欣業、厨房(ちゅうぼう)機器の台湾桜花などの建設資材メーカーも大幅な増益となった。亜洲水泥を筆頭にセメント大手3社もそろって増益。素材ではプラスチック製パイプなどを手掛ける南亜塑膠工業が9倍以上の増益を達成し、鉄鋼中堅の春源鋼鉄工業も増益だった。

◎台湾乱獲でマグロ危機、日米など異例の減船要求(2004年8月23日、産経新聞)
 台湾の漁業会社が主要漁業国間の申し合わせに反して大型漁船を次々と建造し、マグロの主要漁場の一つである太平洋中西部で大量のマグロを乱獲、この影響で日本沿岸の漁獲量が急減していることが、水産庁などの23日までの調査で分かった。
 台湾の新造船はすべて、規制逃れのためにバヌアツなどの小国に船籍を置いた便宜置籍船。同海域でマグロを漁獲する日米や韓国などの関係国は、台湾に減船と操業停止を求める異例の措置を取った。
 台湾の漁業会社が日本向けのマグロ缶詰の輸出拡大を目指す動きも乱獲の一因だとして、水産庁は、関係者に出資している日本の大手商社にも減船への協力を求める。
 太平洋中西部ではマグロ類の国際的な漁業管理機関が長く存在しなかったため、メバチマグロなどが乱獲され、資源が急減。日本や米国、韓国、台湾などの主要漁業国が1999年2月、この海域で操業する漁船の新造を自粛することで合意した。
 だが、台湾の漁業者はその後も、2000トン以上の大型漁船を25隻建造。巻き網漁で大量のカツオやマグロの漁獲を続け、昨年の漁獲量は99年の倍近い45万トンに達したとみられる。この結果、三陸沖など日本沿岸の漁場に回遊するメバチマグロなどが急減。倒産する漁業者も出た。
 こうした問題を受け、「中西部太平洋まぐろ類条約」(今年6月発効)がつくられ、加盟国と加盟予定を合わせた23カ国・地域が7月半ばに札幌市で会合を開き、合意に違反した新造船を2007年7月末までに廃船する行動計画を採択した。水産庁によると、会議には台湾も参加し採択に反対しておらず、同庁は「問題解決に向け前進」としている。

◎中国の「民族感情」批判、アジア杯サッカーで台湾紙(2004年8月9日、産経新聞)
 8日付の台湾紙、中国時報は、サッカーのアジア・カップ決勝で中国が日本に敗れたことに腹を立てた中国のサポーターが「日の丸」を焼くなどして騒いだことについて「(反日の)民族感情を好き放題発散させていると、(2008年の)北京五輪のイメージを損なうことになる」と批判した。
 同紙は「試合に勝ち負けはつきもので『民族の恨み』のように見なすなら、北京五輪の際、(中国と戦争をしたことがある)日本やベトナムなどの選手は気をもむことになる」と「民族主義の高揚」に警鐘を鳴らした。(共同)

◎台湾が戦闘機発着訓練、中国攻撃想定、高速道路で(2004年7月21日、産経新聞)
 台湾の国防部(国防省)は21日早朝、中国の攻撃で空軍基地が破壊された場合を想定し、高速道路を滑走路代わりにミラージュ戦闘機2機を緊急発着させる訓練を実施した。高速道路を滑走路として使った訓練は1978年10月以来。
 中国人民解放軍が台湾の制空権確保を想定し、台湾に近い福建省南東部の東山島で始めたとされる軍事演習に対抗する意図があるとみられる。
 訓練は、台湾の南北を結ぶ高速道路のうち、南部の台南県仁徳−高雄県路竹間の2・7キロの区間を使って実施。ミラージュ戦闘機2機が午前6時20分(日本時間同7時20分)ごろ着陸、給油やミサイル装着を終えて約50分後に離陸し、訓練は成功した。
 20日付台湾夕刊紙、聯合晩報によると、21日には台湾近海で潜水艦や哨戒機を動員して、中国の潜水艦に対抗するための演習も行われる。
 国防部は今回の訓練について中国の軍事演習とは無関係と強調、中国側を刺激しないよう配慮を示している。
 ただ、台湾は今後15年間で米国から最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置6台、ディーゼル潜水艦8隻、P3C対潜哨戒機12機を購入する予定で、6108億台湾元(約2兆円)の特別予算を組む方針を決めており、中台の軍事的緊張の高まりを懸念する声もある。
 国防部は8月末にも実弾を使った毎年恒例の演習を予定している。(共同)

◎台湾の特務機関、清掃員雇い周氏暗殺計画(2004年7月21日、産経新聞)
 20日付の台湾紙、聯合報は、台湾の特務機関が1955年4月、インドネシア・バンドンでのアジア・アフリカ(AA)会議に向かう中国の周恩来首相(故人)暗殺を狙い、香港の空港の清掃員を使って周氏が搭乗すると予測した航空機に時限爆弾を仕掛けた、と報じた。
 このほど機密解除された中国の外交文書に記載されていたという。
 周氏が別の航空機に乗ったため周氏暗殺は失敗に終わった。この計画が台湾の特務機関の手によるものだったということは、中国側関係者の回想文などで判明しているが、中国当局が詳細な内容を公表したのは初めてとみられる。
 同紙によると、台湾の特務機関は清掃員を60万香港ドル(現在のレートで約840万円)で買収し訓練した後、中国がチャーターした航空機内に米国製時限爆弾を仕掛けさせた。
 この航空機は4月11日、インドネシアに向け香港を飛び立ったが、海上で空中爆発し中国代表団メンバーら11人が死亡。周氏はミャンマーでの準備会議に出るため、別のチャーター便を使用し難を逃れた。清掃員は5月に台北に逃亡した。
 中国の情報当局は事前に、台湾の特務機関が香港で爆弾を仕掛けるという情報を得ていたという。(共同)

◎台湾にらんで中国軍が演習へ、部隊集結、緊迫増す(2004年7月16日、読売新聞)
 【北京=佐伯聡士】中国軍が台湾の陳水扁政権をにらんで陸海空3軍の合同軍事演習を実施する福建省の東山島では、部隊の移動が地元住民に目撃されるなど準備が最終段階に入っている模様だ。
 中国紙「チャイナ・デーリー」も軍事筋の話として、「演習実施は今月後半で、最終的な日程は天候次第」と報じており、緊迫感が強まっている。
 東山島にある元豊ホテルの女性従業員(21)は本紙の電話取材に対し、「12日午前、東部の第2職業中学校で軍隊が駐屯しているのを目撃した」と興奮した様子で語った。また、秀東ホテルの20歳代の女性従業員は「通行証がない一般庶民は演習を直接見ることができない。ここ数日は、部隊が移動するのを見た」という。
 電力関係の会社に勤める男性(23)も「海岸沿いに大規模な部隊が展開している」と証言した。地元住民の話を総合すると、演習は東山島の市街地から約8キロ離れた東部湾岸一帯で行われるものと見られる。
 15日付の中国紙「中国青年報」は、今回の演習期間は1週間で、参加人数は1万8000人以上に上ると伝えた。同紙によると、1996年以来続けてきた同演習の主要目的は、〈1〉部隊の合同作戦能力向上と訓練成果の検証〈2〉中国軍に台湾問題を武力解決する能力と自信があることを「台湾独立」勢力に示す〈3〉台湾問題の解決が中国の内政で、外国勢力が決して介入してはいけないことを世界に知らせる、の3点にあるという。
 今回は、台湾海峡の制空権獲得が最大目的で、空軍が主要な役割を果たすほか、陸軍ミサイル旅団や第2砲兵(戦略ミサイル部隊)なども参加するという。
 具体的な演習内容は、上陸作戦や封鎖、対地攻撃、パラシュート降下、空母や巡航ミサイルに対する反撃など幅広い項目にわたっている。

◎中国の空爆想定し軍事演習、台湾で25年ぶり発着訓練へ(2004年7月14日、産経新聞)
 中国が今月、台湾の制空権確保を想定した大規模演習を計画しているのを受け、台湾国防部(国防省)は14日までに、中国の空爆を想定した演習を21日に行うことを決めた。
 演習では、中国の攻撃で空軍基地が破壊された場合を想定して高速道路を滑走路代わりに戦闘機を発着させる訓練が1978年10月以来、25年ぶりに行われるなど、軍事圧力を強めている中国人民解放軍に対抗する姿勢をみせている。
 国防部は2006年以降、中国が限定的な軍事行動を起こす可能性があると分析しており、台湾海峡を挟んで双方が今後、軍事色を前面に出した対抗姿勢を強める恐れがある。
 中国は台湾の制空権確保を念頭に今月、人民解放軍の陸海空三軍合同の大規模軍事演習を計画。具体的な日程は不明だが、福建省南東部の東山島での演習を予定している。同島は台湾・澎湖諸島に近く、地形的にも台湾西岸と似て上陸作戦訓練に適しているとされる。
 米国防総省は5月末、中国の台湾向けミサイルが昨年より50基増え、500基になったとの報告書を発表、中国の軍事的脅威を強調した。
 一方、台湾は今後15年間で米国製最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置6台、ディーゼル潜水艦8隻、P3C対潜哨戒機12機を購入する予定で、計6108億台湾元(約2兆円)の特別予算を組む方針を決めた。
 蔡明憲・国防副部長(副大臣)は、陳水扁総統の「独立志向」を警戒する中国が06年以降、軍事威嚇行動に踏み切る恐れがあるとする一方、米国が台湾に巡航ミサイルなど攻撃用武器を供与する可能性もあると指摘した。(共同)

・中国3軍合同演習
 中国人民解放軍の陸、海、空軍合同の大規模軍事演習で、毎年実施される。今回は7月中に福建省南東部の東山島での演習を予定。同島は台湾・澎湖諸島に近く、台湾西岸と似た地形で上陸作戦に適しているといわれ、中国軍は1996年から8回の大規模演習を行った。今回は台湾の制空権確保という「積極的な攻撃」を想定した内容とされる。(共同)

◎台湾空軍、高速道路上で戦闘機発着訓練へ、26年ぶり(2004年7月14日、朝日新聞)
 台湾空軍は、台湾南部の高速道路上で戦闘機の発着訓練を21日に実施することを決めた。中国軍の攻撃で空軍基地の滑走路が破壊された事態を想定するもので、道路を使った戦闘機の軍事演習は78年以来約26年ぶり。中国が今月、台湾の制空権確保をめざす大規模演習を計画していることに対抗する形となる。
 空軍の発表によると、同日午前4時から8時にかけて約8キロ区間で道路を完全封鎖し、ミラージュ戦闘機を着陸させ、給油や弾薬補給を短時間ですませて離陸させる。14日朝には、近くの台南空軍基地などからの試験飛行が始まった。
 台湾空軍当局者は、14日の記者会見で「高速道路での演習は、昨年から計画されており、中国軍が今月中に行う演習とは無関係」と述べた。もともと今月下旬に台湾でも中国軍の攻撃を想定する「漢光20号演習」が計画されており、高速道路を使っての演習もその一部だとしている。
 だが、陳水扁(チェン・ショイピエン)総統再選後、中国が台湾への圧力を緩めない中で実施される民間地域での演習には、中国への警戒感を強める狙いもあるとみられる。

◎台湾の液晶パネル大手5社、6月の売上高は好調(2004年7月12日、日本経済新聞)
 【台北支局】台湾の液晶パネル大手5社が発表した6月の売上高は5社とも前年同月を大幅に上回った。最大手の友達(AUO)の連結売上高は前年同月比94.3%増の158億7100万台湾ドル(約507億円)で、2位の奇美電子は同89.2%増の113億400万台湾ドル(約361億円)だった。
 中華映管は同87.7%増の115億5700万台湾ドル(約370億円)で、単月としては奇美電子を上回った。単独売上高だけを公表した広輝電子は同226.28%増の61億1800万台湾ドル(約195億円)、瀚宇彩晶は同75.18%増の47億7800万台湾ドル(約152億円)だった。
 しかし、AUOは5月に比べると売上高が4.7%減った。同社では「パソコン用液晶モニターやノート型パソコンの在庫調節の影響があった」としている。奇美電子も5月に比べると売上高が4.6%減少し、出荷量も3.2%減った。

◎蒋介石父子の遺体埋葬へ、「統一」待てず、台湾に(2004年7月8日、産経新聞)
 中央通信によると、台湾の国防部(国防省)当局者は8日、台北市郊外の桃園県に仮安置されている台湾の元総統、蒋介石、蒋経国父子の遺体を、来年3月〜4月に台北県にある軍管理の墓地に埋葬すると発表した。蒋経国氏の遺族が今年1月、国防部に埋葬を申請した。
 共産党との内戦に敗れ、台湾に渡った後「大陸反攻」のスローガンを掲げた蒋介石氏は1975年に、経国氏は88年に死去。「反攻に成功し、統一を成し遂げた後に中国大陸に埋葬する」との考えに基づき、遺体は薬物処理した上で桃園県に仮安置された。
 しかし「独立志向」の強い民主進歩党(民進党)の陳水扁政権下で統一のめどは全く立っていない上、いつまでも仮安置では「蒋家」の家運によくないとの見方もあり、遺族側はこれ以上の埋葬引き延ばしは得策でないと判断したとみられる。
 国防部は陳総統の指示を受け国葬を営む予定。遺族側には両元総統を台湾に埋葬することで「台湾への愛着」を示し、宋美齢・蒋介石夫人の死去(昨年10月)などで薄れる一方の「蒋家」の威光を取り戻したいとの思惑もありそうだ。
 中国と一線を画し「台湾人意識」を刺激する政策を推進している民進党の関係者は「台湾という土地で永眠することは(台湾人としての)アイデンティティーの表明で意義深い」と評価、国葬で愛国意識を鼓舞したいようだ。(共同)

◎蒋介石父子の遺体、ようやく埋葬へ(2004年7月8日、朝日新聞)
 台湾の元総統である蒋介石、蒋経国父子の遺体が正式に埋葬されることが8日決まった。2人の遺体は「国民党がやがて中国大陸に攻め戻った後、大陸に正式に埋葬する」という考えに立って、台湾では安置されたままになっていた。
 蒋介石氏は共産党との内戦に敗れて台湾に逃れ、75年に死去。長男の経国氏は88年に死去した。蒋介石氏の遺体は、故郷の中国浙江省奉化県の風景に似た台湾桃園県大渓鎮の建物の一室にひつぎに入れられて安置されており、経国氏の遺体も近くに安置されている。
 台湾当局の8日の発表によれば、経国氏の夫人が「死者の霊を慰めるため」、台北県にある国軍墓地への2人の埋葬を「蒋家の意思」として国防部に要請した。総統府は同日、「遺族の意思を尊重する」とするコメントを発表。埋葬は来春の見通しだ。
 国民党も同意したほか、「蒋家」とは敵対していた民進党幹部も「彼らも台湾の土に眠ることで、人々の台湾人意識は一層固まる」と評価した。

◎台湾、蒋介石父子の遺体を埋葬へ(2004年7月8日、日本経済新聞)
 【台北8日共同】中央通信によると、台湾の国防部(国防省)当局者は8日、台北市郊外の桃園県に仮安置されている台湾の元総統、蒋介石、蒋経国父子の遺体を、来年3月―4月に台北県にある軍管理の墓地に埋葬すると発表した。蒋経国氏の遺族が今年1月、国防部に埋葬を申請した。
 共産党との内戦に敗れ、台湾に渡った後「大陸反攻」のスローガンを掲げた蒋介石氏は1975年に、経国氏は88年に死去。「反攻に成功し、統一を成し遂げた後に中国大陸に埋葬する」との考えに基づき、遺体は薬物処理した上で桃園県に仮安置された。
 しかし「独立志向」の強い民主進歩党(民進党)の陳水扁政権下で統一のめどは全く立っていない上、いつまでも仮安置では「蒋家」の家運によくないとの見方もあり、遺族側はこれ以上の埋葬引き延ばしは得策でないと判断したとみられる。

◎台湾大地震被災地に豪雨、土石流発生で5500人避難(2004年7月7日、毎日新聞)
 台湾中部では今月初めの台風7号に伴う集中豪雨で大規模な土石流や土砂崩れが発生し、7日段階で約5500人が避難所暮らしを余儀なくされている。被害は、2000人を超える死者が出た台湾大地震(99年)の被災地だった中央山脈沿いの山間部に集中。村ごと土砂に埋まったため移転を余儀なくされる地区まで出ている。
 台湾当局によれば7日現在の死者は25人、把握できている限りで行方不明者11人。台中県と、台湾大地震の震源地だった南投県にほぼ集中している。住む家を鉄砲水や土石流で押し流され、35度近くにまで気温が上がった中で避難所で暮らす人々の苦労を台湾のメディアは伝えている。
 道路が水没したり土砂で埋まったりしたため「陸の孤島」となった状態で救助を待つ人も同日段階で1000人以上にのぼるという。約200戸の台中県和平郷松鶴村、約100戸の南投県仁愛郷合作村はまるごと土砂に埋まったため、当局はそれぞれの住民に移転を勧告した。
 土石流は、大地震で地盤がもろくなったままのところに豪雨が襲ったため規模が拡大した。また茶の栽培などで標高の高い場所まで開発が進んできたことも被害を深刻化させているとみられる。

◎台湾でビル火災、5人死亡、放火の疑いも(2004年6月17日、産経新聞)
 17日付の台湾各紙によると、台湾北部の基隆市にある5階建て雑居ビルで16日夜、火災が発生し、5人が死亡、8人が負傷した。
 ビル内に手製の爆発物のようなものが投げ込まれたとの目撃者情報があることから、警察当局は放火の疑いがあるとみて調べている。(共同)

◎台湾の液晶パネル大手5社、5月売上高も過去最高更新(2004年6月10日、日本経済新聞)
 【台北支局】台湾の液晶パネル大手5社が発表した5月の売上高は、全社が単月としての過去最高を更新した。最大手の友達光電(AUO)の連結売上高は前年同月比106.7%増の166億5600万台湾ドル(約549億円)となり、過去最高を13カ月連続で更新した。
 2位の奇美電子は同62.1%増の118億4900万台湾ドルで、中華映管が同95.8%増の114億1300万台湾ドルで続いた。単独売上高だけを公表する広輝電子は同197.1%増の57億900万台湾ドル、瀚宇彩晶は同58.1%増の44億5100万台湾ドルだった。
 5社とも2003年半ばから、台湾域内で大型の液晶パネルを生産する新工場を相次ぎ稼働させたばかり。パソコン用液晶モニターや液晶テレビ向けに売り上げの大幅増が続いた。
 「2004年上半期は大型パネルの世界シェアで台湾は韓国に次ぐ2位だが、各社の新工場の稼働率向上で下半期には1位に立つ」(台湾の工業技術研究院)との予想もある。

◎爆竹工場で爆発、10人死傷、台湾中西部の嘉義県(2004年6月8日、産経新聞)
 中央通信などによると、台湾中西部の嘉義県で7日午後5時(日本時間同6時)ごろ、養豚場を改造した非合法の爆竹工場で爆発が起き、6人が死亡、4人が負傷した。死亡したのは従業員とみられる。
 警察当局によると、爆発の衝撃で、工場近くにある小学校や家屋の窓ガラスが割れたという。(共同)

◎米議会:台湾へのレーダー売却承認、ミサイル防衛向け(2004年6月3日、毎日新聞)
 米議会は3日までに、弾道ミサイル防衛に使用する超高周波の早期警戒レーダー2基を台湾に売却する計画を承認した。米国防総省当局者が明らかにした。
 対外軍事売却に関する署名を台湾政府と取り交わせば、正式に売買契約が成立する。実際にレーダーが台湾側に納入されるには時間がかかりそうだが、中国側は反発を強めそうだ。
 早期警戒レーダーは弾道・巡航ミサイルの追尾に使用するのが目的。通常は航空機追跡などに使われているが、改良すれば弾道ミサイルの追尾・捕捉も可能という。
 台湾は4月、中国の弾道ミサイルに対抗するため、陸海軍の作戦指揮系統を統合した「ミサイル司令部」を発足。地対空誘導弾(PAC3)と早期警戒レーダーの導入でミサイル防衛網を整備する方針だ。(ワシントン共同)

◎台湾副総統に米入国許可(2004年5月26日、産経新聞)
 バウチャー米国務省報道官は25日、近く中米諸国を訪問する台湾の呂秀蓮副総統に対し、米政府が一時入国を認めたことを明らかにした。
 呂副総統は28日にラスベガスに立ち寄り、30日まで米国に滞在。さらに中米歴訪からの帰途、来月6日から9日までサンフランシスコに滞在する予定。
 報道官は「副総統の訪米は個人的かつ非公式なもの」とした上で、入国許可は渡航上の便宜にすぎないと強調した。(共同)

◎台湾新幹線車両、台湾・高雄に到着(2004年5月25日、日本経済新聞)
 【高雄(台湾南部)25日共同】台湾で2005年10月に開業予定の台湾高速鉄道(新幹線)向けに、川崎重工業などが製造した車両を貨物船から降ろす作業が25日、台湾南部の高雄港で始まった。
 日本の新幹線型車両が海外に輸出されたのは初めて。新幹線は台北―高雄間(345キロ)を最高時速300キロ、約一時間半で結ぶ計画で、9月に高雄―台南間で試運転が行われる見通し。
 貨物船は19日に神戸港を出港、24日に高雄港に到着した。一編成12両の車両は、白の側面に黒とオレンジの線が入った流線形で定員は989人。
 輸出された車両は東海道・山陽新幹線「のぞみ」の「700系」をベースに川崎重工業と日立製作所、日本車両製造が製造。3社は台湾向けに計30編成、360両を手掛けるという。

◎台湾「新憲法制定」陳総統が表明、2期目の任期中に(2004年5月20日、読売新聞)
 【台北=若山樹一郎】3月の台湾総統選で再選された陳水扁氏(民進党主席)(53)の就任式が20日、台北市の総統府で行われ、陳政権の2期目がスタートした。陳総統は、施政方針を打ち出す就任演説で、今後4年間の任期中に、自立した台湾の現状に合致した新憲法を制定する考えを公式に表明した。中国が求める「一つの中国」原則の受け入れは拒否した。
 陳総統は、国民党が大陸を統治していた時代から続く現行憲法について、「効率的な政治を阻害している」と述べた上で、「任期中の新憲法制定は、私の歴史的責任であり、台湾住民への約束だ」と強調した。
 ただ、中国側にも一定の配慮を示し、主権問題、「統一か独立か」などについては、新憲法の枠内から外すとした。
 「一つの中国」原則では、中国の要求は理解できるとしたものの、中国の台湾に対する武力威嚇が台湾住民の意識を遠ざけていると述べた。一方で、「平和と発展、自由な選択」を基礎に中台間で将来のいかなる関係を築くか話し合えるとした。
 陳総統は「一辺一国」(中台はそれぞれ別の国)とする考えにはいっさい触れず、台湾海峡の平和という現状を維持すると強調。平和と安定の相互信頼メカニズム構築を呼びかけた。
 就任式には、台湾と外交関係のある15か国から元首クラスが出席。日本からは、石原慎太郎東京都知事、平沼赳夫前経済産業相らが出席した。

◎台湾総統就任式:民意の亀裂どう修復(2004年5月20日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾の第2期陳水扁政権が20日、スタートした。中台関係や景気対策など課題は多いが、陳総統が真っ先に着手しなくてはならないのは、総統選を通じ亀裂が拡大した民意の修復にほかならない。
 「失われた2カ月」。台湾マスコミは総統選投開票日から、今日までをやゆする。本来なら次の政権に、さまざまな期待や評価が寄せられるはずだが、関心は陳総統銃撃事件の真相や、票再集計に奪われたからだ。
 野党側が敗北を認めず、「闘争」を継続していることが最大要因だが、そこに至る背景には陳総統の責任もある。
 陳総統は4年前、党派を超えた「全民政府」を約束した。だが、再選への形勢が不利とみるや、中国とは異なる「台湾人意識」を強調する選挙戦術を打ち出した。選挙後も野党の抗議行動を「流産したクーデター」と挑発的な発言をするなど野党支持者の「反陳水扁」感情を増幅させた。
 本人や父母らの出身地が台湾内か、中国大陸かという族群(エスニックグループ)問題は今も台湾社会に影を落とす。
 有力紙・中国時報の4月の世論調査では「総統選で候補者は族群問題を刺激したか」との質問に「非常に深刻」「深刻」との回答が56%に達した。「どの政党が族群問題をあおったか」との問いには、陳総統側との答えが38%で、野党側の2倍近くに及んだ。
 20日の就任演説で、陳総統は選挙後の民意の対立にも言及し、「族群問題解決への努力」を約束するとともに、当選無効・選挙無効訴訟の裁判のいかなる結果も受け入れると約束した。陳総統に対する不信感の蓄積も起因する一連の混乱の解決、対立の解消を目指す決意を示したわけだ。
 陳総統は自身を「全民総統」と称する。2期目は「野党に投票した半数の有権者」からも信頼を得る努力が求められる。対立がもたらした台湾社会の傷を癒やすことこそ、全民総統の役割となる。

◎台湾総統:新憲法では独立盛らず、陳氏就任演説(2004年5月20日、毎日新聞)
 【台北・成沢健一】台湾総統選(3月20日)で再選を果たした民進党の陳水扁総統(53)は20日午前9時(日本時間同10時)から、台北市内の総統府で宣誓式を行い、第11代総統に正式に就任した。引き続き行われた就任式典で、陳総統は2期目の施政方針表明に当たる就任演説を行い、「一つの平和」原則による中台間の新たな関係構築を中国側に呼びかけた。公約である任期中の新憲法制定は「憲政秩序の再建」を目的として現状は変更しないと強調し、独立を警戒する中国への刺激を抑えた内容となった。
 就任演説で陳総統は、「(台湾海峡)対岸が『一つの中国』の原則を放棄できないことは理解できる」としたうえで、「『一つの平和』の原則の下、台湾海峡の現状維持確保と往来の活発化を協議したい」と語った。新憲法制定を目指した06年の住民投票実施には触れず、08年までの任期中に制定するとした新憲法では独立は盛り込まない考えを明らかにした。独立色を抑えた背景には、中国側が17日、「独立に向けた動きは粉砕する」と強い調子でけん制したうえ、米国側もいたずらに緊張関係を高めないように自制を求めたことを考慮したとみられる。
 また、住民に高まる本土化意識に配慮し、在任中に独立を宣言しないなどと4年前に表明した「五つのノー」に直接的に言及はしなかったが、「原則は変わっていない」と述べた。ただ、中国側の要求とはなお隔たりがあり、関係改善が急速に進展する可能性は低そうだ。
 総統府前広場で開かれた就任式典には、朝からの雨にもかかわらず約20万人が参加した。総統府によると、外交関係のある26カ国の元首や特使をはじめ、51カ国から400人以上の来賓が訪れており、日本からは石原慎太郎・東京都知事や平沼赳夫前経済産業相らが出席した。
 式典に先立って行われた宣誓式では、総統府の大ホールに掲げられた国父・孫文の肖像画を前に、陳総統と呂秀蓮・副総統(59)が「国家に忠誠を尽くす」と相次いで宣誓した。
 陳水扁総統の就任演説の骨子は次の通り。
一、08年に任期を終える前に、新憲法を完成させる。
一、国家の主権、領土の変更、統一・独立問題は憲法改正作業には加えない。
一、中台の指導者はそれぞれの人民の福祉のため、新たな世紀に似合う新思考を持つべきだ。
一、中台間の平和で安定した相互システムの構築を目指す。

◎台湾・陳水扁総統が就任演説、「憲政改革推進」を表明(2004年5月20日、朝日新聞)
 台湾の陳水扁(チェン・ショイピエン)総統(53)は20日午前、台北市内の総統府で2期目の就任式を行った。陳氏は就任演説で、選挙戦で掲げた「住民投票による新憲法制定」について「憲政改造を進め、08年に台湾の現状に合った新憲法を出す」と表明し、現行の中華民国憲法を本格的に見直すことを明確にした。中国との関係では対話の再開を呼びかけ、「両岸平和発展綱領」をともに作ろうと語った。
 台湾の民主化の実績を強調した陳総統は「憲政改造」について、現行の中華民国憲法の多くの規定は、「5権分立」制度、選挙制度や政府組織、基本的人権の問題などについて、台湾社会の現状から見て見直すべき点が増えたと強調。今後、各分野の人材を集めた委員会を結成、任期が終わる08年までに「新憲法」を作ると語った。
 「新憲法制定」という言葉は明確にしなかった。総統選で表明していた「06年に住民投票を実施し、新憲法を制定する」という表現も使わず、「新憲法のための住民投票は台湾独立をめざす動き」と強硬に反発していた中国への配慮を示した。「国家の主権、領土、独立の議題は憲法にとり入れない」と述べた。
 さらに、冷却化したままの中台の政治関係を打開するため、「両岸の指導者は将来何らかの形で話し合う必要がある」とし、対話再開や平和交流を呼びかけた。
 00年の就任演説で表明した「台湾独立を宣言しない」などの原則はそのままの表現では繰り返さず、陳氏の再選に寄与した台湾内の急進独立派の意向もくんだが、「その精神は変わらない」とも述べた。
 陳総統は今後4年間の施政方針として「中台関係の安定、社会の安定、経済の繁栄、台湾の団結」を掲げた。3月の総統選で二分化した台湾社会の和解も呼びかけた。
 陳総統と呂秀蓮(リュイ・シウリエン)副総統が総統選投票日前日に銃撃されたため、就任式は厳戒態勢の中で行われた。陳総統が演説する演台の周囲は大きな防弾ガラスが設置され、総統、副総統とも防弾着を着て参列者の前に姿を現した。
 15カ国の元首や総統与党の民進党支持者らを中心に約10万人が参列。日本からは平沼赳夫・前経済産業相ら自民、民主党の国会議員10人や石原慎太郎・東京都知事らが出席した。

◎台湾:陳総統の就任演説、独立色を抑えた内容に(2004年5月20日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾の陳水扁総統が20日に行う就任演説は、対話による中台間の新たな関係構築を目指す「一つの平和」原則を打ち出すなど独立色を抑えた内容になることが19日、分かった。陳総統が06年制定を公約した新憲法の目的は「憲政秩序の再建」であり、現状を変えないと強調する。中国側が満足できる内容ではないが、中台関係が緊張する事態は避けられる見通しとなった。
 就任演説は二期目(任期4年)に入る陳水扁政権の施政方針を内外に示すものといえる。
 陳総統は選挙戦の過程で、1946年に中国で生まれた現行憲法に代わる新憲法を住民投票を経て制定すると宣言。「中国の脅威」を強調するとともに、自分たちこそが主役という有権者の「台湾人意識」を刺激して再選された。それだけに、就任演説で中国との関係にどのように言及するかが注目を集めてきた。
 陳総統は4年前の就任式で「中国が武力を発動する意図がない限り、独立を宣言しない」など「五つのノー」を発表したが、総統府や与党・民進党筋によると、今回は「五つのノー」をより具体化できる方策を示す。
 演説では中台が共有できる「平和」をキーワードに名付けた「一つの平和」原則の下、話し合いによる両岸関係修復を促す。これは、中国が台湾に突きつける「『一つの中国』原則に代わる存在」(総統府筋)と位置付けている。
 中国が受け入れることは難しいが、陳政権はその原則によって「平和で安定した相互メカニズム」を設け、中台間の軍事監視機構の開設や3通(交通・通商・通信の直接交流)解禁などの協議を求める。
 一方、新憲法の目的は台湾独立のためではなく、現状維持を前提にした憲政改革との立場を説明。「台湾海峡対岸にある中華民国(台湾)の存在」を強調し、新憲法制定後も現在の「国号(国名)」である「中華民国」を維持する方針を示す。
 演説内容はすでに米政府に伝えられ、了解を得ている。独立色を抑えるなど中国を刺激する表現を避けることで、新憲法制定を「独立に向けた動き」とする中国の非難をかわす一方、高揚する「台湾人意識」にも応える“折衷型”に落ち着くようだ。

◎総統選の票再集計作業終了、台湾(2004年5月19日、産経新聞)
 中央通信によると、3月の台湾総統選で陳水扁総統に約3万票差で敗れた野党統一候補、連戦・国民党主席による当選無効訴訟を受けた票の再集計作業が18日、終了した。
 今後、訴訟を指揮している台湾高等法院(高裁)で有効か無効か争いがある疑問票の判定を実施。判定は7月以降、判決は9月末までに言い渡される見通しで、再集計結果は判決の際に公表される。
 裁判官や陳、連両陣営の弁護士らが10日から台湾各地で、有効、無効票を含めた計約1325万票の投票用紙などを点検した結果、3万票以上の疑問票が出た。
 陳氏側は、再集計で選挙結果が覆ることはないとしている。(共同)

◎台湾オブザーバー参加巡りWHO紛糾、参加は見送り(2004年5月18日、読売新聞)
 【ジュネーブ=長谷川由紀】世界保健機関(WHO、加盟192か国)の年次総会が17日、ジュネーブの国連欧州本部で始まり、台湾のオブザーバー参加の是非を巡って紛糾した。1997年以来、7年ぶり2度目となった投票の結果、今総会での台湾の参加は見送られた。
 台湾参加問題は、総会直前に開かれた総務委員会で議題としないことが決まったが、総会では投票による決着を求める声が相次いだ。中国は「政治問題化しようとしている」と反発、初日に予定されていたWHOの李鍾郁事務局長と金大中・前韓国大統領の演説が18日に延期される異例の事態となった。
 投票では、日本や米国など25か国が議題化に賛成したが、133か国が反対にまわった。
 台湾は、中国が国連に加盟した72年にWHOを脱退、97年から毎年オブザーバー参加を求めている。初めて投票が行われた97年の総会では、議題化賛成は19で、日本を含め128か国が反対した。

◎台湾の「独立」活動停止を要求・中国が声明(2004年5月17日、日本経済新聞)
 【北京17日共同】中国共産党中央台湾工作弁公室と国務院(政府)台湾事務弁公室は17日、「誰が政権担当者になろうと『台湾独立』の主張と活動をやめた場合にのみ、両岸(中台)の平和と安定が可能になる」との声明を国営通信社、新華社を通じて発表した。
 声明は独立志向の陳水扁総統を名指しで「就任時の約束を破り独立分裂活動を繰り返してきた」と激しく批判。「一つの中国」の原則を強調し、20日の総統就任式を前に陳総統をけん制した。
 一方で、台湾の「独立放棄」を前提に(1)対等の協議と敵対状態の終結(2)平和的発展を協議する枠組みの創設(3)「三通」(通商、通航、通信の直接開放)の実現と経済関係の緊密化―を提案した。
 声明は「一つの中国」を認めて両岸関係を発展させるか、「分裂活動」を続けて自滅するか、「台湾当局は岐路に立っている」と主張。あくまで独立を目指す場合は「断固独立のたくらみを粉砕する」と武力行使も辞さない決意を強調した。

◎台湾でM6の地震(2004年5月16日、産経新聞)
 中央通信によると、16日午後2時4分(日本時間同3時4分)、台湾東部・台東県成功の東方64.3キロの海底を震源地とするマグニチュード(M)6.0の地震が発生した。震源の深さは12.5キロ。
 被害の報告はない。成功で震度4、花蓮県で震度3、宜蘭県、台中市などで震度2を記録した。(共同)

◎台湾総統選の票再集計開始、結果判明は就任式後に(2004年5月10日、産経新聞)
 3月20日の台湾総統選で陳水扁総統に約3万票差で敗れた野党統一候補、連戦・国民党主席による当選無効訴訟を受けた票再集計作業が10日午前、台北市選挙委員会庁舎など台湾全域で始まった。
 有効か無効か争いがある疑問票を洗い出し、訴訟を指揮している台湾高等法院(高裁)であらためて判定する。疑問票選別を含む投票用紙の検査作業は、総統就任式前日の今月19日までに終わる見通しだが再集計結果は直ちには出ず、高等法院が判決の際に公表する見通しだという。
 裁判官や陳、連両陣営の弁護士らが有効、無効票を含めた計約1325万票の投票用紙などを検査。疑問票は高等法院に送られ、今後の審理の中で判定を行う。
 連氏は、無効票が前回総統選の3倍弱に当たる約33万票も出たのは「開票に不正操作があったため」として再集計を要求。当時の判定作業の問題点を探し出し、選挙結果を覆すことを狙っているが、陳総統側は結果は変わらないとみており、20日に予定通り就任式を行う。(共同)

◎台湾総統選、きょうから票再集計、「当選無効」検証、19日にも結論(2004年5月10日、産経新聞)
 【台北=河崎真澄】三月に行われた台湾総統選挙の票の再集計が十日、台湾高等法院(高裁に相当)と二十一カ所の地裁の監督で始まる。陳水扁総統(民主進歩党)に小差で敗れた連戦・中国国民党主席など野党陣営が訴える「当選無効」の主張を検証するもので、陳総統の二期目の就任式前日の十九日までに再集計を終える見通し。
 警備当局では九日、再集計をめぐる混乱を防ぐため「治安維持指揮所」を開設。再集計が行われる裁判所の周囲にはバリケードが張り巡らされるなど、厳重な警戒態勢が整った。
 再集計は、今回の総統選で三十三万票にのぼった無効票の存在などを背景に、野党陣営が「票の集計に不正があった」と高等法院に訴えた「当選無効」裁判の審査が目的だ。
 ただ、0.23%の得票率差で敗れた連氏の票が仮に、陳総統を上回ったとしても、当選者が直ちに入れ替わるわけではなく、総統選後六カ月以内が期限と規定される判決を待つ必要がある。
 台湾の総統選で、票の再集計はこれが初めてだ。千三百万票を超える記入済みの票のすべてと集計に使った資料、未使用の投票用紙などを裁判官ら司法当局者が再点検する。中央選挙委員会関係者や与野党双方の弁護団も立ち会う。有効票と無効票の認定基準に変更はない。再集計にかかる費用は、原告の野党陣営が六千万台湾元(約一億九千二百万円)を負担した。
 野党陣営はさらに、総統選と住民投票を同時実施したことなどを違法とする「選挙無効」の訴えも高等法院に起こしており、与党追及の手を緩める気配を見せない。国民党関係者は、「総統選の結果が覆せるとは考えていないが、十二月の立法委員選挙まで与党攻撃を続ける必要がある」と話しており、訴訟など与党へのゆさぶりが、立法委員選で過半数の議席を維持したい野党陣営の“選挙戦術”であるとの見方も明らかにしている。
 国民党内でくすぶる辞任要求に対して、連主席は、「今は(陳総統銃撃事件と票集計の)真相究明が先決だ」と辞任を否定。立法委員選の結果次第で主席職の続投を狙うものとみられている。

◎台湾総統選再集計で合意(2004年4月12日、産経新聞)
 台湾高等法院(高裁)は12日、総統選で陳水扁総統に敗れた野党統一候補、連戦・国民党主席による当選無効訴訟を受けた準備協議を行い、陳、連両陣営の弁護団は、無効票を含むすべての票の再集計と選挙人名簿などの検査を裁判官主導で行うことで合意した。
 今後、裁判官や書記官を対象に有効、無効票の認定などの講習を実施後、再集計日程が決まる予定。
 陳陣営の弁護士は、5月中旬までに再集計が行われる見通しだが、作業に3、4日かかるため総統就任式の同月20日までに終わるかどうか楽観できないとの見方を示した。(共同)

◎台湾:民進党が総統選後初の党大会、陳総統は2期目に意欲(2004年4月10日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾総統選で再選された陳水扁総統の与党・民進党は10日、総統選後初の党大会を台北市内で開いた。陳総統(党主席)は「12月の立法院(国会)選挙で勝利し国会の主導権を握り、真の政権交代を実現させたい。党内改革を進め、長期政権につなげたい」と述べ、5月からの2期目に意欲を示した。立法院では現在、野党の国民、親民両党が過半数を占める。

◎台湾武器売却、中台の軍事均衡損なわず・米国務省報道官(2004年4月2日、日本経済新聞)
 【ワシントン=秋田浩之】エレリ米国務省副報道官は1日の記者会見で、米国防総省が発表した台湾への高性能レーダー売却計画に中国側が反発していることについて「売却が地域の基本的な軍事バランスに影響を及ぼすことはない」と語り、中台の軍事均衡を崩す心配はないと強調した。
 売却の意図を巡っては「台湾の全般的な安全保障と防衛能力を向上させることにある」と、あくまでも台湾への防衛支援が目的との立場を示した。中国側からの反応に関しては「台湾へのレーダー売却については中国からまだ公式な申し入れは受けていない」と説明した。

◎中国、米国の台湾へのレーダー売却を批判(2004年4月1日、日本経済新聞)
 【北京=吉田忠則】中国外務省の孔泉報道局長は1日、米国による台湾への高性能レーダー売却計画について「特に台湾情勢が錯そうし複雑な状況のもとで台湾の独立派に誤った信号を送ってはならない」と述べ、米国の対応を批判した。
 孔泉局長は「台湾問題は中米関係の中で最も敏感で重要な問題で、中国は米国が台湾に高性能の武器を売ることに強く反対している」と強調。そのうえで「米国が承認してきた『一つの中国を堅持し、台湾の独立に反対する』という立場に違反する」と抗議した。

◎米、台湾に最新鋭の早期警戒レーダー売却(2004年4月1日、読売新聞)
 【ワシントン=伊藤俊行】米国防総省は31日、台湾に対し、弾道ミサイルの軌跡を広範囲にとらえられる最新鋭の早期警戒レーダーを売却すると発表した。
 30日付で米議会に報告したもので、売却額は17億7600万ドルとなる見通しだ。
 国防総省は発表の中で、「極東における経済発展の重要な源泉となってきた台湾の安全と防衛能力の強化を支援することで、米国の外交・安全保障政策にも資することになる」との立場を強調した。

◎米、台湾にレーダー売却も、ミサイル防衛、中国の反発必至(2004年4月1日、産経新聞)
 米国防総省は31日、弾道ミサイル防衛にも対応可能な超高周波の早期警戒レーダー最大2基を、約18億ドル(約1900億円)で台湾に売却する計画を米議会に伝達した。議会の承認を得れば、入札などの手続きが進められる見通しだ。
 台湾を攻撃目標とした中国の短距離弾道ミサイルを意識しているのは明らかで、中国側の反発は必至。実際の売却までには曲折が予想される。
 国防総省は、台湾側は監視レーダー計画の一環として、レーダーを弾道・巡航ミサイルなどの追尾・捕捉に使用するとしている。軍事関係筋によると、高周波レーダーは主に航空機の捕捉に使われるケースが多いが、改良型では弾道ミサイルの捕捉も可能という。
 台湾総統選後、中台関係は緊張が高まっているが、同省は「地域の軍事的バランスに影響を与えない」としている。同省当局者は「6年前から台湾側はレーダー購入を要請していた」と強調した。
 米国防総省が昨年公表した中国の軍事報告書によると、中国は短距離弾道ミサイルを既に450基配備。台湾国防部(国防省)はこれに対抗するため、最新鋭の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の購入などミサイル防衛導入に積極的な方針を示している。(共同)

◎「中台は別の国、台湾の民意」陳総統と単独会談(2004年4月1日、読売新聞)
 【台北=若山樹一郎、関泰晴】台湾の陳水扁総統(53)は1日、台北市の総統府で読売新聞と単独会見し、「中台はそれぞれ別の国(一辺一国)」とする自身の主張について、「すでに台湾社会の絶対多数の意見で、民意となった。台湾住民は『一つの中国』を受け入れることはできない」と述べ、中国への対決姿勢を鮮明にした。
 中台関係は、今後さらに悪化すると予想される。陳氏が再選後、日本のメディアと会見したのは初めて。
 陳氏はまた、2006年に住民投票を行い、2008年に新憲法を施行する方針を改めて表明。新憲法制定は、「自立化」路線の重要なステップであり、中国は「独立に向けた動き」として警戒している。
 陳氏は一方で、「5月20日の就任演説で、(中国に)新たな主張を行う用意がある」とも述べ、対中関係打開に意欲も見せた。
 総統選で小差で敗れた連戦・国民党主席らが当選無効を訴え、混乱が続いていることについては、「1票差でも勝ちは勝ち」と述べ、野党側の対応を批判した。

◎「台湾は独立した主権国家」・陳総統が米紙に(2004年3月31日、日本経済新聞)
 【ワシントン=秋田浩之】先の総統選で再選を果たした陳水扁・台湾総統は米ワシントン・ポスト紙のインタビューで、緊張が続いている中国との関係について「自分は台湾ないし『中華民国』は独立した主権国家だと信じている」と言明した。中国が対話再開の条件として受け入れるよう求めている「一つの中国」の原則についても、拒否する方針を強調した。
 インタビューは29日に行われ、30日付に掲載された。
 陳氏は「台湾が独立した主権国家である事実に変わりはない。我々はもう一つの国家の地方政府ではない」と指摘。「我々は現状を維持したい」と語り、中国との統一に反対する姿勢を鮮明に示した。中国が反発している陳氏による憲法改正の動きを巡っては、あくまでも民主化の一環であり、独立とは無関係と説明。実行に移していく意向を明らかにした。
 これに関連して、米国務省のバウチャー報道官は30日の記者会見で「陳総統が2000年の就任式で、独立を宣言したり、台湾の名称を変更したりしないと約束したことに留意している」と、陳総統に自制を促した。

◎台湾与野党、選挙法改正へ審議開始、票再集計問題(2004年3月26日、産経新聞)
 台湾の与野党は26日午前、台北市内の立法院(国会)で、先の総統選の票再集計に向けた選挙関連法改正案の審議を始めた。
 26日中に改正法案が可決されれば、4月3日までに再集計が行われ、得票率の差がわずか0・2ポイントの大接戦となった選挙結果をめぐる混乱が収束に向かう可能性もある。
 選挙関連法改正案は総統選候補者の得票率差が1ポイント以内の小差の場合、再集計を行うとする内容。与党、民主進歩党(民進党)が提出した改正案は中央選挙委員会が再集計を行うとしているが、国民党など野党側の対案は公正を期すため法院(裁判所)主導での再集計を主張している。
 中央選挙委員会は26日、陳水扁総統の総統選当選を公告する予定だが、小差で敗れた野党統一候補の連戦・国民党主席陣営は「選挙結果に争いがある中で、公告を出すべきではない」と反対している。
 「選挙無効」を訴える連氏の支持者による台北市内の総統府前での抗議行動は選挙から7日目の26日午前も続いた。27日には同市内で50万人以上の大規模デモが計画されている。(共同)

◎台湾総統選:陳総統が再集計法案、立法院に提出(2004年3月23日、毎日新聞)
 【台北・成沢健一】台湾の与党・民進党は23日、総統と副総統の選挙罷免法について、得票率の差が1ポイント以内の場合に票の再集計を行えるようにする改正案を立法院(国会)に提出した。今回の総統選にも遡及(そきゅう)させる方針で、野党側が受け入れれば今週中にも無効票を含む全面的な再集計が行われる。この日午前、陳水扁総統は王金平・立法院長(国会議長)らと会談し、こうした方針を伝えた模様で、事態の早期打開に向けて行政権限による再集計が必要と判断したとみられる。
 総統選で連戦・国民党主席を擁立した国民党と親民党の野党連合も票の早期再集計を要求しており、改正案を拒否する可能性は低いとみられる。陳総統は23日に改正案を通過させ、今週中の再集計実施に向けて24日にも公告したい考えだ。
 陳氏と連氏の得票差は3万票足らずで、得票率の差は0.22ポイントだった。海外では得票率が小差の場合に再集計を行う規定を設けているケースがあるが、台湾ではこうした規定がなかった。
 野党連合は無効票が前回の3倍近い約33万7000票に達したことなどから、21日に台湾高等法院(高裁)に選挙無効訴訟を起こすとともに早期の再集計を要求。しかし、高裁側は再集計をすべきかについて判断を保留しており、野党連合の支持者らが台北市の総統府前で座り込みを続け、再集計を要求している。

◎台湾総統選、再集計、早期実現の見通し(2004年3月23日、産経新聞)
 中央通信によると、台湾の与党議員団は23日、選挙関連法の改正を提案、野党側が求める総統選の票の再集計に応じる姿勢を示した。これにより、再集計が早期に実現する見通しが強まった。
 中央通信によると、与党、民主進歩党の立法委員(国会議員)は、総統選候補者の得票率差が1ポイント以内だった場合、票の再集計を申請できるよう関連法の修正を提案。今回の総統選にも適用させる意向で、野党側の再集計要求に応え、混乱を収拾するのが狙いとみられる。
 陳氏は同日午前、游錫●(=「方」を横にふたつ並べ、下に「土」)・行政院長(首相)や国民党幹部の王金平・立法院長(国会議長)らと総統府で協議。台湾のテレビは、陳氏が野党側の要求を受け、行政権限で票の全面再集計をできるよう、同日午後に法改正作業を進めるよう指示したと伝えた。
 一方、総統選で陳水扁総統に敗れた野党統一候補の連戦・国民党主席の支持者が選挙無効と票の即時再集計を訴えて台北市内の総統府前で始めた抗議デモは同日午前も続いた。約1000人が座り込みを続けている。
 23日の台湾株式市場は続落し、指標の加重平均指数は午前10時(日本時間同11時)現在、前日終値比328・12ポイント安の6031・80。
 連陣営が台湾高等法院(高裁)に起こした選挙と陳氏当選の無効訴訟は審理開始に向けた準備が始まったが、審理開始日は未定。(共同)

◎陳総統、票の再集計受け入れへ、混乱収集狙い、地元TV(2004年3月23日、朝日新聞)
 台湾のTVBSテレビは23日、陳水扁(チェン・ショイピエン)総統が総統選挙の混乱の収拾のために、対立候補が求めている票の再集計を受け入れる意向を固めたと報じた。与党・民主進歩党の立法委員(国会議員)団も同日、選挙法を改正して、得票差が1%以内の場合は票の再集計をできるようにして、今回の総統選にも適用する方針を表明した。この譲歩を野党側が受け入れれば、早ければ今週中に票の再集計が行われることになる。
 陳総統と民進党側は仮に票を数え直したとしても、勝敗結果に変更はないとみており、政治的な混乱が長引くのを避けるために妥協策を採るようだ。野党側は、支持者のデモや集会で圧力をかけているが、選挙無効訴訟の司法手続きは時間がかかるため、5月20日の総統就任式まで混乱を持ち越すのは得策ではないという判断に傾いている。
 陳総統は23日午前、游錫クン(ユー・シークン)行政院長(首相)や国民党副主席の王金平(ワン・チンピン)立法院長(国会議長)らを総統府に招き、事態への対応を協議した。
 陳総統に小差で敗れた野党統一候補の連戦(リエン・チャン)国民党主席らは票の即時再集計と陳総統の銃撃事件の真相解明を訴え、総統との面会を求めている。台北市内の総統府前を占拠した連氏支持者の集会は選挙から3日たった23日昼過ぎも続いている。

◎台湾総統選で敗北の連氏支持者、抗議の座り込み(2004年3月21日、日本経済新聞)
 【台北21日共同】20日投開票が行われた台湾総統選で、陳水扁総統に敗れた野党統一候補の連戦・国民党主席や支持者数百人が21日未明(日本時間同)から、台北市の中心部にある総統府前で選挙結果を不服として座り込みを始めた。抗議行動は台中市や高雄市など全土に拡大、一部では警備当局との間で小競り合いも起きている。
 抗議行動の参加者は、総統府前で国民党の応援旗を振りながら「選挙は無効だ」「陳水扁は政権を降りろ」などと口々に叫び、機動隊と対峙(たいじ)した。
 台北市内の選対本部で座り込みを始めた連氏も総統府前に移動した。抗議行動に参加した50歳代の男性は「われわれの要求が認められなければ、国民党政権下で台北市が“独立”してもいい」と怒りをあらわにした。
 連陣営は総統選をめぐって生じた33万票の無効票について「不正操作が行われた可能性がある」とし、直ちにすべての投票用紙を調べるよう求めている。また、選挙と陳総統の当選無効を求めた訴えを台北市の高等裁判所に起こした。

◎台湾、選挙抗議デモ3日目に(2004年3月23日、日本経済新聞)
 【台北23日共同】台湾総統選で陳水扁総統に約3万票のわずかな差で敗れた野党統一候補の連戦・国民党主席の支持者が選挙無効と票の即時再集計を訴えて台北市内の総統府前で始めた抗議デモは選挙から3日目の23日未明(日本時間同)も続いた。
 20日夜の勝利宣言後、公の場に姿を見せていなかった陳氏は同日午前、游・行政院長(首相)や国民党幹部の王金平・立法院長(国会議長)らを総統府に招き、混乱収拾策を協議する見通し。連氏が提起した陳氏との会談が実現するかどうかも今後の焦点となる。連陣営が台湾高等法院(高裁)に起こした選挙と陳氏当選の無効訴訟は審理開始に向けた準備が始まったが、審理開始日は未定。連氏の支持者は「投票用紙の即時、全面再検査」を求めており、審理が長引いた場合、対決姿勢を強める恐れもある。行政院(内閣)関係者は22日、選挙無効訴訟は5月20日の陳氏の総統就任に影響しないとの見方を示した。

◎台湾総統選:陳水扁氏が再選(2004年3月21日、毎日新聞)
 【台北・成沢健一】銃撃事件が影を落とす中で台湾総統選は20日、投開票が行われ、中央選管の発表によると、民進党の陳水扁総統(53)が約3万票の小差で野党連合の連戦・国民党主席(67)を破って呂秀蓮副総統(59)とともに再選を果たした。一方、敗れた野党連合は、銃撃事件に対する説明不足や無効票の多さを理由に、選挙無効と票の数え直しを裁判所に求める考えを示した。
 中央選管によると、両候補の得票率の差はわずかに0.22ポイントで、無効票は投票総数の2%余だった。投票率は80.28%で、三つどもえの激戦だった前回の82.69%を2.41ポイント下回った。台湾を二分した激戦は、銃撃事件でさらに複雑化し、社会的な混乱に発展する要素もはらんでいる。陳総統は20日午後10時過ぎに台北市の選挙対策本部に現れ、「人民の勝利で、民主の新時代を迎えた」と勝利宣言した。また、(台湾海峡)両岸の平和の新時代のために中台対話の再開を呼びかけた。さらに、住民投票が無効となったことについて「民主の大きな一歩であったが、改善の余地がある」と率直に認めた。
 選挙戦では最大の争点である中台関係をめぐり、連氏が融和促進を訴えたのに対し、陳氏は台湾の主権を強調した。陳氏は政治献金疑惑や呉淑珍夫人の株式購入疑惑で最終盤に劣勢が伝えられたが、19日の銃撃で負傷したことが陳氏への同情票につながり、有利に働いた模様だ。
 陳氏は再選後、06年12月に新憲法制定の是非を問う住民投票を実施し、08年5月に新憲法を施行する方針を示している。「国名の変更など独立につながるものではない」と主張するが、実施すれば、中国が反発することは確実だ。

◆選挙の無効 連氏要求へ「銃撃の説明ない」
 連氏は20日夜、副総統候補だった宋楚瑜・親民党主席を伴って選挙対策本部であいさつし、支持者に感謝の言葉を述べた後、冷静な対応を呼びかけた。その上で、「銃撃事件の真相は全く明らかにされず、選挙結果に影響が及んだ。これは不公平な選挙だ」と語った。
 さらに、無効票が両候補の得票差を大きく上回っていることなどから、再確認のための投票箱の差し押さえと選挙結果の無効を裁判所に求める決定を野党連合として下したことを明らかにした。宋氏も同調する考えを示した。
 これに対し、中央選管は「投票箱の差し押さえは法律の規定に沿って進めなければならない」と説明。無効票が多かった理由として、市民団体が無効票で意思表示することを呼びかけたことが関連しているとの見方を示した。
 台湾で初の政権交代が実現した前回00年の総統選では、国民党が候補者を一本化できず、陳氏が漁夫の利を得た。この時に陳氏と競り合った宋氏は今回、副総統候補として連氏と組み、民進党との一騎打ちとなった。

・台湾総統選の開票状況
 陳水扁氏(民進党)6471970(50.11%)
 連 戦氏(国民党)6442452(49.89%)
 無効票       337297
  ※ 台湾中央選管最終発表。カッコ内の数字は得票率

◇陳水扁氏
 1951年2月、台南県生まれ。台湾大在学中に弁護士試験に合格。民主化デモが弾圧された79年の美麗島事件で弁護を担当したのを機に政界入り。86年に8カ月間、投獄された経験も。立法委員(国会議員)を経て、94年に台北市長選に当選。98年に同市長選で落選した後、00年の総統選で当選し、台湾初の政権交代を実現した。02年7月に民進党主席に就任した。

◎中国にミサイル撤去要求、陳総統(2004年3月21日、産経新聞)
 台湾の陳水扁総統は20日の総統選で再選された後の演説で、中国政府に対し、選挙結果を受け入れて台湾向けミサイルを撤去するよう求め、「両岸の平和と安定、対話と協議の大きな扉をともに開けよう」と呼び掛けた。
 陳総統は、中台関係の平和と安定は「米国や日本を含む国際社会も期待している」と強調した。
 台湾初の住民投票については「一部の民衆はまだ理解していない」と指摘した上で、住民投票を実施するしないにかかわらず「人民が国家の主人であるのは永遠に変わらない」と述べた。(共同)

◎台湾司法当局、全土の投票箱差し押さえ・総統選(2004年3月21日、日本経済新聞)
 【台北21日共同】台湾総統選で陳水扁総統に小差で敗れた国民党の連戦主席らが、結果を不服として選挙の無効を求めている問題で、台湾の最高法院は21日未明(日本時間同)、全土の裁判所に対し、各選挙管理委員会が保管している投票箱や選挙人名簿の差し押さえを命じた。
 連氏側は近く、選挙無効を求め全土規模の訴訟を起こす方針で、差し押さえはこれに向けた措置。各選管では同日午前、裁判所による差し押さえ作業が始まった。
 連氏側は、無効票が前回選挙より多いことなどから「開票作業に不正があった可能性がある」と主張。無効票の集計で混乱した2000年の米大統領選のように、選挙結果の最終的な「確定」までかなり時間がかかる可能性も出てきた。
 連氏側は今回の選挙について(1)無効票が前回より約20万票多い約33万票あった(2)前日に起きた陳氏銃撃事件についての政府の説明が不足したまま投票日を迎えた(3)同事件を理由に(国民党支持者が多いとされる)約20万人の機動隊員らの投票権を奪った―などから、選挙は不当だったと訴えている。

◎台湾初の住民投票、成立せず(2004年3月20日、産経新聞)
 台湾の中央選挙委員会は20日、総統選と同時に行われた台湾初の住民投票について、2項目いずれも投票率が50%を超えず、成立しなかったことを明らかにした。
 同委員会によると、第1項目の「中国のミサイルに対する防衛力強化の是非」への投票率は45・17%、「中国との協議の是非」を問う第2項目では45・12%だった。(共同)

◎台湾総統選、陳総統はきん差のリード・連戦氏は選挙無効訴え(2004年3月20日、日本経済新聞)
 【台北=山田周平】20日に投開票された台湾総統選挙で、台湾の中央選挙委員会は同日夜、与党・民進党の陳水扁総統の得票数が647万1970票に達したと発表した。野党候補の連戦国民党主席は644万2452票で、陳水扁総統がきん差ながら上回った。
 これに先立ち、連氏は同日夜、台北市内の選挙対策本部で「今回の選挙は不公平だった」と述べ、開票のやり直しを求める考えを示した。連氏は前日の陳水扁総統の銃撃事件で当局が真相を明らかにしていないと指摘。連戦陣営によると、民進党の地盤である台湾南部の高雄県で数カ所の投票所の結果が疑わしいと主張している。

◎台湾総統選:陳水扁氏が再選(2004年3月20日、毎日新聞)
 【台北・成沢健一】銃撃事件が影を落とす中で台湾総統選は20日、投開票が行われ、民進党の陳水扁総統(53)が大接戦の末、野党連合の連戦・国民党主席(67)を破って再選を果たした。陳氏が「台湾化(自立化)路線」を強めることは必至で、中国の反発により、東アジア情勢が緊迫する局面も予想される。
 陳氏の新たな任期は5月20日から4年間。銃撃事件は今後も与野党の対立にしこりを残すとみられ、社会的な混乱に発展する可能性もある。総統選と同時に安全保障など中国との関係のあり方を問う初の住民投票も実施されたが、野党がボイコットを呼びかけたことから、投票成立の条件となる投票率50%に達するかは微妙な情勢だ。
 選挙戦では最大の争点である中台関係をめぐり、連氏が融和促進を訴えたのに対し、陳氏は台湾の主権を強調した。陳氏は政治献金疑惑や呉淑珍夫人の株式購入疑惑で最終盤に劣勢が伝えられたが、19日の銃撃で負傷したことが有利に働いた模様だ。
 陳氏は再選後、06年12月に新憲法制定の是非を問う住民投票を経て08年5月に新憲法を施行する方針を示している。「国名の変更など独立につながるものではない」と主張しているが、実施すれば、中国が反発することは確実だ。
 台湾で初の政権交代が実現した00年の総統選では、国民党が候補者を一本化できず、陳氏が漁夫の利を得た面があった。この時に陳氏と競り合った宋楚瑜・親民党主席(62)は今回、副総統候補として連氏と組み、陳氏と呂秀蓮副総統(59)を擁する民進党と野党連合の一騎打ちとなった。
 選挙戦を通じて陳氏は金権政治の一掃を実績として強調するとともに、中国への防衛力強化などを問う住民投票への支持を呼びかけた。住民投票は、台湾人意識を刺激する効果で陳氏への求心力を高めたとみられる。また、陣営では銃撃事件を受け、陳氏への投票を暴力への抵抗と位置づけた。
 連氏は当選後の中国訪問を表明し、中台対話の早期再開を訴えた。13日に台湾各地で計300万人(主催者発表)を集めた選挙集会では、地面に口づけをするパフォーマンスを見せ、「親中国」のイメージ払しょくに努めた。しかし、中国との急激な関係緊密化に有権者は警戒感を示したうえ、銃撃事件が国民党独裁時代の暴力団の影響力を想起させたことも不利な要素となった。

◇陳水扁氏
 1951年2月、台南県生まれ。台湾大在学中に弁護士試験に合格。民主化デモが弾圧された79年の美麗島事件で弁護を担当したのを機に政界入り。86年に8カ月間、投獄された経験も。立法委員(国会議員)を経て、94年に台北市長選に当選。98年に同市長選で落選した後、00年の総統選で当選し、台湾初の政権交代を実現した。02年7月に民進党主席に就任した。

◎台湾:ノーベル賞受賞者が陳総統支持を表明(2004年3月18日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】20日投票の台湾総統選挙で、台湾市民から広く尊敬されるノーベル化学賞受賞者、李遠哲・中央研究院院長が17日夜、声明を発表し、陳水扁総統を支持することを表明した。李氏は00年の前回総統選の1週間前に「陳氏支持」を明らかにし、これで陳氏が混戦状態から抜け出し、初の政権交代を実現させる最大の要因になった。
 陳総統と野党連合の連戦・国民党主席との一騎打ちによる接戦が続く今総統選で、李氏はこれまで態度を明確にしていなかったが、浮動票の投票動向に影響を与える可能性がある。

◎ICC、新幹線契約で台湾側に81億円賠償命令・台湾紙(2004年3月16日、日本経済新聞)
 【台北16日共同】国際ビジネス紛争の仲裁機関の役割を果たす国際商業会議所(ICC)は16日までに、来年10月開通予定の台湾高速鉄道(台湾新幹線)の事業主体、台湾高速鉄道公司に対し、車両システム受注で日本側に敗れたドイツ、フランスの欧州高速鉄道連盟(ユーロトレイン)に約7300万ドル(約81億2400万円)の賠償金を支払うよう命じた。同日付の台湾各紙が報じた。
 車両システム受注では1997年に欧州側が優先交渉権を得ていたが、その後、日本勢が巻き返し2000年12月に台湾側と正式契約に調印。欧州側は01年、「合意違反」として8億ドルの損害賠償を求め、ICC側に仲裁を申請していた。ICCは欧州側の一部主張を認めたが、賠償額は大幅減額した。利息を含めた支払総額は約8500万ドルになるという。

◎台湾「2・28事件」57年目デモ、民進党、陳総統再選へ決起(2004年2月29日、産経新聞)
人間の鎖200万人、国民党は民族和解を主張
 【台北=河崎真澄】台湾北部の基隆から南部の屏東まで約四百九十キロの道を、「二百万人」(主催者発表)に達する住民が手をつないで結ぶ「二・二八人間の鎖行動」が二十八日、行われた。台湾の示威活動で過去最大の規模。中国の弾道ミサイルから台湾を守るとのスローガンだが、三月二十日の総統選で民主進歩党(民進党)の陳水扁総統の再選をめざす決起イベントとなった。政権奪回をめざす中国国民党の総統候補、連戦主席も同日、高雄や台北で民族和解を訴えるなど、選挙戦は本格化し始めた。
 この日の午後二時二十八分(日本時間同日午後三時二十八分)、各地でカウントダウンとともに約十分間、年配者から子供まで人の列が、「台湾を守れ!」「阿扁(陳総統の愛称)当選!」と叫んだ。呼びかけ人である前総統の李登輝氏は、中部の苗栗で演説し、「民主や人権、尊厳は努力なしに空から降ってはこない。人々が勝ち取って擁護していかねばならない」と意義を強調。さらに総統選と同時実施の「ミサイル防衛力強化」の是非を問う住民投票にも参加するよう訴えた。
 国民党政権が台湾住民を弾圧するきっかけとなった「二・二八事件」から五十七年目の日に合わせたデモ活動で、台湾住民の団結と、「中国の台湾支配にノーという」(主催者の黄昭堂・台湾独立建国連盟主席)意思を表明した。台北市内の立法院(国会に相当)前では、日本から駆けつけた参加者数十人も列に加わって、台湾海峡の安全に日本人も強い関心をもっていることを示した。
 有力ケーブルテレビ局の「TVBS」が同日午前に発表した支持率調査では、陳総統の与党陣営支持38%に対し、連主席の野党陣営が41%と3ポイントリードしている。態度未定は21%だった。しかし、約二百万人に達する予想外の大規模行動になったことに、夕刊紙「聯合晩報」の蔡詩萍主筆は、「全土という空間を舞台にした視覚的な効果があり、中間層が陳総統支持に傾く可能性もある」と話している。
 この日、「千万人心連心(多くの人々の心を結ぶ)」と題した支援者の集会を各地で行った連主席は、「総統を選択する基準は気勢によるものであってはならず、(候補者同士が)尊重しあうべきだ」と述べ、「人間の鎖」を牽制(けんせい)した。また野党陣営は、聖火をつなぐマラソンリレーや献血活動によって「民族の和解」を訴え、「二・二八事件」を強調し、本省人(台湾籍)と外省人(中国籍)の“民族対立”を悪化させかねない活動とは異なる動きをみせた。

・2・28事件
 1947年2月27日、中国大陸から渡ってきた外省人(中国大陸籍)官吏が台北市内でたばこ売りの女性を殴打したことをきっかけに、中国国民党政権に対する本省人(台湾籍)の不満が爆発し、翌28日、民衆暴動が台湾全土に広がった事件。国民党軍の武力鎮圧と続く政治弾圧によって1万8000人から2万8000人という本省人が殺害された。台湾人口の13%の外省人が85%の本省人を長期支配したことで、「省籍矛盾」と呼ばれる内部対立を生んだ。

◎中国のミサイル配備に抗議、台湾で「人間の鎖」(2004年2月29日、読売新聞)
 【台北=若山樹一郎】台湾の西海岸沿いに南北を結ぶ約500キロの間で28日、中国の対台湾向けミサイル配備に抗議するため、住民ら約150万人が手をつないで結ぶ「人間の鎖」デモが行われた。
 呼びかけ人は李登輝前総統。3月20日の総統選で再選を目指す陳水扁総統の総決起大会を兼ねるもので、陳総統ら、与党・民進党の幹部らもそろって参加、「平和を愛し、ミサイルに反対」と気勢を上げた。
 陳総統は、苗栗県の野球場に設けられた特設ステージで李前総統と手をつなぎ、「台湾人民は自らの手で『民主と平和の長城』を築いた」と強調。さらに、総統選と同時に行われる「対中ミサイル防衛能力強化」への賛否を問う住民投票について、「マル(賛成)と書いて、台湾を守ろう」と呼びかけた。李前総統は「台湾人の国家アイデンティティーと中国拒否の姿勢が改めて示された」と述べた。
 この日は、台湾に渡った国民党政権が1947年2月、2万人以上の台湾住民を殺害した「2・28事件」の日。
 デモは、1989年にバルト3国の住民約200万人が、ソ連との併合無効を訴えて行った「人間の鎖」にならったもので、総統選挙に向けて「反国民党」「反中国」を強く訴える狙いで行われた。

◆李登輝前総統
 1971年、国民党入党。88年、蒋経国氏の死去に伴い副総統から昇格し、本省人(台湾出身者)として初の台湾総統に就任した。「静かなる革命」と称された、平和的民主化路線を推進し、台湾の国際的地位の向上に大きく貢献。その総仕上げとして取り組んだ初の総統選直接選挙(96年3月)で当選し、2000年5月まで在任した。
 中台関係については、双方を特殊な国と国と位置づける「2国論」を提唱。今回の総統選では、同様に「台湾独立派」と目される陳水扁総統を支援している。
 京都帝大で学んだ経験のある知日派。近著に「『武士道』解題」がある。

◎台湾のバレンタイン「情人節」は、男性から花束(2004年2月12日、朝日新聞)
 14日はバレンタインデー。台湾では「西洋情人節」と呼ばれている。「情人」とは恋人のことで、「恋人たちの日」というわけだ。
 西洋の恋人たちの日があるなら、東洋の恋人たちの日は織姫とひこ星が会う7月7日の七夕になる。つまり、台湾では年に2回の「情人節」があることになる。
 ただ、同じ東洋でもバレンタインデーの過ごし方は日本とはだいぶ違う。
 贈り物は女性からではなく、もっぱら男性から女性へとなる。もちろん、チョコレートもあるが、まず男性が用意するのは一抱えもある真っ赤なバラの花束。アクセサリーやペアルック、ともかく何か気の利いた贈り物も用意しないといけない。そして、ホテルやレストランでの2人だけの特別ディナーである。ここまででも、男性の出費はかなりのものだ。
 さらに今年は10年ぶりの寒波で赤いバラが品薄になり、例年より8割高。そのうえ鳥インフルエンザで、ケーキに使う卵も5割高。男性の出費はますますかさむ。
 というわけで、台湾では義理チョコだの、本命だのと悩む女性はいない。悩むのは男性ばかりだ。バレンタインデーが終わると、次の「情人節」、七夕のディナーが待っている。

◎アジアの摩天楼、鉄骨で支える、日本の鉄鋼大手活躍(2004年2月6日、朝日新聞)
 日本の鉄鋼大手が、アジアを代表する超高層ビルの鉄骨組み立てなどで活躍している。各社は80年ごろからアジアで事業を本格化させており、高品質の素材や正確な技術が評価されている。
 台湾で建設中の「台北101(台北国際金融センター)」は、地上101階で高さ508メートル。今秋完成すれば、マレーシアのペトロナスツインタワーを抜いて世界一ののっぽビルになる予定だ。新日本製鉄は、このビルの鉄骨工事を担当、昨年11月に工事を終えた。
 一方、JFEグループのJFEエンジニアリングは、昨年秋にオープンした香港一の超高層ビル「国際金融センター2」の設計や建設を担当した。地上88階で高さは420メートル。観光地として知られるビクトリアピーク展望台より高い。
 それぞれ、ハイテンと呼ばれる硬い鋼板を使用。硬く厚い分、溶接は難しいが、日本の鉄鋼会社の溶接技術はレベルが高く、無事工事を終えた。JFEエンジニアリングの殿谷和敬・鋼構造営業室長は「香港の新しい観光スポットになればうれしい。今後もアジアで超高層ビルを造っていきたい」としている。

◎台湾、昨年の輸出10.4%増(2004年1月7日、日本経済新聞)
 【台北=村山宏】台湾の財政部(財政省)が7日発表した昨年の輸出は前年比10.4%増の1442億ドル、輸入は13.1%増の1272億ドルだった。米国の景気回復に伴い、台湾企業の中国生産拠点からの対米輸出が急増し、部品・原材料の対中輸出が急増した。中国(香港を含む)への輸出は22.1%増の497億ドルだった。
 12月の輸出は前年同月比20.6%増の140億ドル、輸入は33.4%増の131億ドルだった。生産活動の活発化に伴い、日本からの資本財の輸入が大幅に増えた。

◎台湾でM5.9の地震(2004年1月2日、産経新聞)
 中央通信によると、1日午前11時15分(日本時間同日午後零時15分)ごろ、台湾東部・花蓮県玉里の東方33.5キロの海底を震源とするマグニチュード(M)5.9の地震が発生、同県で震度5、台東県で震度4を記録した。
 負傷者などの報告はない。(共同)

◎台湾新幹線の工事着々、日本の技術フル活用(2003年11月24日、朝日新聞)
 日本が誇る新幹線の技術を採用した台湾の高速鉄道は、05年秋の開業を目指して工事が着々と進んでいる。土木関係は9割方出来上がり、運転士の卵たちも日本で研修中で、日本製の車両は来春には台湾に渡る。中国大陸では北京−上海間の高速鉄道の入札を前に、歴史問題を背景にした複雑な対日感情が微妙な影を投げかけているが、「台湾新幹線」の日台協力は順調な歩みを見せている。
 台北−高雄間345キロを最速1時間半で結ぶ台湾の高速鉄道で、路盤工事が先行しているのは南端の区間だ。サトウキビ畑を縫って走る高架橋の上では、日本製の軌道敷設機がフル稼働する。地元と日本の技術者が混成で、亜熱帯の強い日差しの下、仕上げに汗を流す。同時に、電柱や架線の設置も佳境だ。
 来春には、この区間で走行試験を始める日本製の新型車両も届く予定だ。700系「のぞみ」の鼻を少し短くした車体で、白地にオレンジや黒の配色を生かしたデザインだ。
 着工から3年半が過ぎ、工事全体ではほぼ半分の進み具合となっている。トンネルも48本のうち46本が貫通した。「国鉄でなく民間出資が中心の会社だから、開業が大きく遅れると採算に響く」(台湾高速鉄路公司の林天送スポークスマン)と事業の管理も厳しい。
 約1兆6000億円の総事業費のうち、日本企業グループは中核となる車両、信号、運行システム(約3320億円)、軌道(約2000億円)を受注した。このほか、駅舎、土木工事にも地元企業と組んで参画している。
 曲折もあった。事業計画には当初から欧州勢がかかわり、97年の入札ではいったん、欧州勢が優先交渉権を得た。日本連合は提示価格を下げ、99年に逆転受注した。ドイツの高速鉄道で起こった事故の影響や、当時の李登輝総統の意向も働いたとされる。
 日本の関連業界は、台湾での実績をもとに、北京−上海間(約1300キロ)の高速鉄道の受注につなげたい考えだ。だが、台湾交通部(交通省)の何煖軒・高速鉄路工程局長は「自前の鉄道関連産業育成を急ぐ中国は、日本の将来の競争相手。台湾と同じようにはいかないのではないか」と見る。
 工事が順調な台湾でさえ、日本企業の儲けすぎ批判が出たり、現場での事故死が新聞で大きく取り上げられたりする。それだけに、「現在の日中関係を考えると、北京―上海の新幹線受注はそう簡単でない」(日本の外交筋)といえそうだ。

◎台湾西部の爆竹工場で爆発、3人死亡(2003年11月17日、産経新聞)
 中央通信などによると、16日午後7時(日本時間同8時)ごろ、台湾西部の苗栗県通霄鎮にある爆竹工場で爆発が起き、3人が死亡したほか、テレビ局のカメラマンら十数人が負傷した。
 工場内の爆竹や花火に引火し、ごう音とともに次々に爆発、夜空に火花を散らしながら炎上した。火は近くの山に燃え移り、消火作業は手間取っている。
 中央通信によると、工場内に二十数人の従業員が一時閉じ込められたが、無事脱出したという。この工場ではここ数年間に2回、爆発事故が起きている。(共同)

◎宋美齢さん死去:中国・台湾史を体現(2003年10月25日、毎日新聞)
 【台北・飯田和郎】台湾の故蒋介石・元総統夫人、宋美齢さんが23日、104年の生涯を閉じた。米国での教育の影響を受け、奔放に生きた彼女は第二次大戦中、対米工作でも夫をしのぐ活躍を見せ、日本の敗戦に大きな影響を与えた。中国・台湾史をそのまま体現した生涯は、総統選を来春に控え、熱を帯びる台湾のアイデンティティー(地位)論争にも一石を投じるだろう。
 「永遠のファーストレディ」と呼ばれた美齢さんの死を知った台北市民は24日、次々と蒋元総統を記念する中正紀念堂を訪れた。涙を落とす老婦人もいる。その多くは国民党とともに、中国大陸から渡ってきた外省人やその子弟だった。
 一方、本省人(台湾出身者)は冷ややかに死を受け止めた。38年間という世界最長の戒厳令(1949〜87年)を敷き、独裁政権を維持した蒋介石氏と、それを支えた美齢さんへの複雑な感情は消えない。民主化されるまでの台湾近代史の中心に蒋夫妻がいたととらえる市民も少なくない。
 この二つの異なる現象こそが、台湾の今の姿を映し出している。
 再選を目指す民進党の陳水扁総統は、中国と台湾の関係を「1辺1国」(それぞれ別の国)と表現し、現行の中華民国憲法に代わる台湾新憲法制定の意向を示す。陳総統と連携する李登輝前総統も「中華民国」に代わる「国名を正す(正名)運動」を推進、台湾独立色を強める。
 一方、野党陣営は「中華民国と台湾共和国との戦い」と位置づける。政権奪還を目指し総統選に出馬する連戦・国民党主席が主張する「一つの中国」とは中華民国であり、それは蒋夫妻が台湾にもたらした「国家」だ。
 「外来政権」を象徴する美齢さんだけに、その死は与野党陣営に少なからぬ波紋を与えるかもしれない。
 だが、政治の表舞台を離れて久しい美齢さんの死が台湾政界に直接的な影響を与えることはない。むしろ、台湾の若い世代は彼女の波乱に富んだ生涯を歴史上の出来事としてとらえる。
 米国で受けた教育は、女性が男性に隷属した時代を打ち破った。生涯のクライマックスは43年2月、米議会での演説だろう。身振りを交えた英語の演説終了後、5分間も鳴りやまなかかった拍手は、米国の戦争への関与を深め、日本の敗戦を決定づけたともいえる。
 「一人は金を愛し、一人は権力を愛し、一人は国を愛した」。「宋家の3姉妹」はこう評される。仲のよかった姉妹は、時代の流れとともに、歩む道が分かれていった。長姉靄(あい)齢さん(73年死去)は富豪と結婚。革命家・孫文の夫人として新中国という「国を愛した」二姉慶齢さん(81年死去)と、夫とともに「権力を愛した」美齢さんの生き方はあまりに対照的であった。
 最後に残った美齢さんの死は、20世紀の中国・台湾史をにぎわした「宋・蒋王朝」の終えんを意味する。

・宋美齢さんの生涯
1894年 日清戦争
  99年 宋家の三女美齢さん誕生
1911年 辛亥革命
  12年 清朝が滅亡し中華民国成立。孫文が臨時総統に就任
  14年 第一次世界大戦開戦
  19年 「五・四」運動。国民党結成
  25年 孫文死去
  27年 美齢さん(30歳)が蒋介石氏と結婚
  31年 満州事変勃発
  37年 日中戦争始まる
  39年 第二次世界大戦開戦
  42年 美齢さんが米議会で演説、「抗日」を訴える
  45年 終戦
  49年 中華人民共和国成立。内戦に敗れた国民党が台湾に渡る
  50年 蒋介石氏が台湾の総統に
  75年 蒋介石氏死去、87歳。美齢さんがニューヨークへ。
2003年 美齢さん死去、104歳。

◎故蒋介石夫人の宋美齢さんが死去、最後の「宋3姉妹」(2003年10月25日、朝日新聞)
 故蒋介石・台湾総統の夫人の宋美齢さんが、23日午後11時17分(日本時間24日午後0時17分)、米ニューヨークで死去した。106歳だった。中国現代史に名をとどめた「宋三姉妹」のうち生存していた最後の一人だった。
 戦前の中国経済を支配した浙江財閥・宋家の三女として上海で生まれ、米国で大学教育を受けた。1927年に中国国民党指導者の蒋氏と結婚。蒋氏が内戦停止と抗日を求める張学良氏に捕らえられた36年の西安事件では、自ら西安に飛び、夫の釈放に奔走した。
 米議会での抗日戦争への支援を呼びかけた演説など、戦前、戦後を通じて対米関係で強い影響力を発揮した。49年、国民党が国共内戦に敗れて台湾に移ってからも、「中華民国」のファーストレディーとして華やかに活動した。75年に蒋氏が死去すると、台湾を離れ、米国に移った。
 義子の蒋経国総統が死去した88年、台湾出身の李登輝総統が国民党の実権を握るのを阻止しようとしたこともあった。2000年の総統選挙では国民党の連戦氏の支持を呼びかける手紙を発表した。だが、李政権下で進んだ民主化で「蒋王朝」時代は過去のものとなり、影響力は失われた。
 宋三姉妹の長姉、宋靄齢さんは中華民国財政部長を務めた孔祥熙氏と結婚。次姉の宋慶齢さんは「国父」孫文氏と結婚、中国共産党寄りの立場を貫き、後に中華人民共和国の副主席になった。それに対して宋美齢さんは「大陸反攻」を掲げた蒋氏に従い、台湾海峡を挟んで姉妹が敵対した。
 年齢の「106歳」は国民党中央党史委員会によるものだが、これ以外にも諸説がある。

◎米、台湾の憲法制定をけん制(2003年9月30日、読売新聞)
 バウチャー米国務省報道官は29日、台湾の陳水扁総統が2006年に新憲法を制定する意向を示したことに関連し、台湾独立につながるような憲法改正を行わないとの従来姿勢を堅持するよう促した。
 報道官は「個々の選挙キャンペーン」にコメントする立場にはないとしながらも、陳総統が2000年8月、台湾の国名変更はじめ独立につながる国民投票や憲法改正を行わない姿勢を表明した経緯を強調し「米国はこの立場を真剣に受け止めている」と述べた。(共同)

◎台プラ、桃園観塘に火力発電所建設構想[基盤](2003年8月21日、NNA)
王永慶・台湾プラスチックグループ董事長は19日、「総額20億米ドルを投資し、桃園県の観塘・観音浜海地区に400万キロワット規模の火力発電所を設置してもよい」という考えを明らかにした。20日付経済日報が報じた。
王董事長は、同日、游錫コン行政院長(首相・コンは方2つに土)に陳情書を提出。台湾電力が進めている、台湾最大の液化天然ガス(LNG)発電プラント、大潭発電所(桃園県観音郷)のプロジェクトについて、「火力発電所の方がLNG発電所よりもメリットが大きい」として、政府に現行の電力整備計画の再検討を求めた。

・コスト高を警告
王董事長によると、LNG発電所はコストが高く、発電量が400万キロワットの場合、年間の燃料コストは300億台湾元にも達し、長期的に莫大な費用になるという。火力発電所は多くの二酸化炭素を排出するが、「米ブッシュ政権も、先進国が二酸化炭素の削減目標を定めた京都議定書を履行しないことを表明した。台湾は国連に加盟していないため京都議定書に調印できず、同議定書の付帯条件にある、各国による自己責任での二酸化炭素排出削減への取り組みも行う必要はない」とした。さらに、「全面的にLNG発電に移行することは、技術が成熟していないため、豊富な天然ガス埋蔵量を有する米国でさえ実施していない」と強調した。
王董事長はそのうえで、
1. 発電事業者の海外からの電力調達を可能にすること
2. 発電事業者による電力販売の上限規定の撤廃
などを求めるとともに、「観塘・観音浜海区は台北の国際商港として開発が可能だ。第1、第2原子力発電所の稼働停止後に電力不足になるようであれば、同地に火力発電所を建設したい」とした。

・東鼎、中石は歓迎
王董事長の構想について、観塘工業区を開発した東鼎液化ガス興業の黄耀智総経理は、台プラの同工業区への進出に歓迎の意を示した。同社は、大潭発電所へのLNG供給を目指して観塘工業区にLNGステーションを設けたが、7月に行われた同発電所へのLNG納入の入札で中国石油に敗れ、現在LNGステーションと埠頭の利用方法をめぐって中国石油と協議を行っている。
中国石油の潘文炎総経理は、「王董事長の開発計画の内容は知らないが、中国石油と国家にとって有利であれば、台プラと協力する可能性もある」とコメントした。

◎台北で38.8度、観測史上最高を2日連続で更新(2003年8月10日、朝日新聞)
 台湾の中央気象局によると、9日の台北市の最高気温は38.8度で、前日の38.7度を更新し、1897年の観測開始以来最高を記録した。台風10号の北上に伴い南西の風が吹き込み、各地で気温が上がった。
 この暑さもあって、胃の痛みを訴えた李登輝前総統(80)は週末の講演などの予定を取り消し、医師の勧めで静養している。

◎台北で38.7度、観測史上最高を記録(2003年8月9日、朝日新聞)
 台湾の中央気象局によると、8日の台北市の最高気温は38.7度で、1897年の観測開始以来最高を記録した。これまでの記録は1921年7月31日の38.6度。台湾全島では1988年5月7日の台東県の39.6度が最高。台風10号の北上に伴い南西の風が吹き込み、各地で気温が上がった。台湾北部では1カ月半ほど少雨が続き、水不足の恐れが出ている。

◎「台南」の地名は新しい(2003年8月7日、台北週報2107号)
 台南といえば、日本でなら京都か奈良に相当し、古い歴史の町として観光客も多い。台湾本島の開発はここから始まったのだから、当然と言えようか。だが「台南」という地名は意外に新しい。
 唐の中葉にはすでに大陸から移住民が澎湖島に入っていたことは文献からも確認されており、そこへオランダ人が入ったのは17世紀になってからであった。ヨーロッパの大航海時代のことで、ジャワ島に東インド会社を設立(1602年)したオランダは、さらに勢力を伸ばそうと艦隊をマカオに向けた。ところがそこはすでにポルトガル人が要塞を築いており、オランダ艦隊は海上をさまよった。このとき、同乗していた漢人通訳で、澎湖島の存在を教える者がいた。オランダ人は喜び、さっそく針路を澎湖島に向けた。上陸してみると、一応開発もされており、けっこう住みよい。ここを拠点にと軍営や住居を築きはじめた。
 驚いたのは明朝である。大陸沿岸住民が澎湖島に拠ったオランダ人と交易することを禁じるとともに、大軍を派遣して撤退を要請した。オランダは戦いを避け、交渉に応じた。このとき結ばれた協定が、オランダ人は澎湖島から撤退する代わりに、台湾を占拠しても明朝は異議を唱えず、大陸沿岸との交易も認めるというものであった。このことから、明朝の台湾に対する認識がどの程度のものであったか伺い知れる。
 この時オランダ人が入植したのが鹿耳門(現在の曽文渓)で、1624年10月のことである。やがてここから台南市街が形成されるが、先住民は当時この地を「セッカム」と呼称し、漢人移住民は「赤嵌」の漢字を当てていた。だからオランダ人が構築したプロビデンジャ城も「赤嵌楼」と呼んでいた。「台南」の地名が出てくるのは、まだ先のことである。

◎台湾のSARS死者、独自集計で倍増180人に(2003年7月19日、朝日新聞)
 台湾衛生署(厚生省)は18日、新型肺炎SARSの死者が17日正午までに180人になったと発表した。台湾の死者は6月18日から84人のままだったが、一挙に倍以上に増えた。同署の担当者は「直接の死因以外にもSARS感染者すべての死を合計した」。台湾独自の集計だとした。台湾の累積感染者は670人で、死者が180人になると致死率は26.9%に跳ね上がり、世界で最もSARSの致死率が高い地域になる。
 台湾は今月5日に世界保健機関(WHO)のSARS感染地域の指定を解除された。その時点での死者は台北市など北部が58人、高雄市など南部が22人だった。新たな統計では北部が121人、南部が54人になった。
 衛生署疾病対策センターの施文儀・副センター長は「WHOの規定によれば死者は84人だが、感染者で心臓病や高血圧、自殺などで死んだ人も含めた。WHOからは要求されておらず出過ぎたことだが、台湾だけがこうした数字を報告することで誠実さを示した」と、独自集計公表の理由を語った。別の担当者は、隠蔽(いんぺい)していたわけではない、と話した。
 施氏はWHOには1ヶ月前に独自集計とWHO基準の2種類の死者の数字を報告したと話した。WHOの14日までの集計では、世界のSARSの死者と致死率は、中国348人(6.5%)、香港298人(17.0%)、カナダ38人(15.2%)、シンガポール32人(15.5%)など。

◎台湾の力晶半導体、300ミリウエハー工場建設に20億ドル(2003年7月7日、日本経済新聞)
【台北=村山宏】台湾の中堅半導体メーカー、力晶半導体は2カ所目となる直径300ミリウエハー対応の半導体メモリー工場を建設する。年末に着工し、20億ドル(約2400億円)を投じて2005年の稼働を目指す。情報技術(IT)景気の回復を見込み、以前から持っていた建設構想を具体化する。
力晶は昨年、最初の300ミリ対応工場を稼働させ、ウエハー換算で月間1万2000枚を生産している。第二工場の稼働により、2005年末には月産能力を7万枚に引き上げる。一方で微細加工能力も強化し、今年中に線幅0.13マイクロ(マイクロは100万分の1)メートルの製品の生産を始める。

◎台北で世界最高層ビルの棟上げ式(2003年7月2日、産経新聞)
 2004年後半に台北市内に完成予定の世界最高層のオフィスビル「TAIPEI 101」の棟上げ式が1日、陳水扁総統や馬英九・台北市長らが参加して行われた。
 101階建ての同ビルは高さ508メートル。1998年1月に着工、1日に最後の鉄製の梁(はり)が取り付けられ、ビル本体の枠組み工事が完了した。2カ月以内に予定されるアンテナの取り付け工事を終えると508メートルの高さになる。総工費は580億台湾元(約1970億円)。
 完成時には現在、世界で最高層のマレーシアのペトロナス・ツインタワー(452メートル)を抜くが、森ビルが2007年の完成を目指し上海で建設中のビルは492メートルで、アンテナを除く建物自体の高さで世界一になるという。(共同)

◎中国からの不法流入に歯止め 台湾、「移民署」設置へ(2003年6月30日、産経新聞)
【台北=河崎真澄】台湾の行政院(内閣に相当)が中国大陸などからの不法入境の抑制を目的とした「移民署」の設置を検討していることが、産経新聞が入手した法案で二十九日、明らかになった。偽装結婚による中国側からの不法流入に対処するためで、入出境管理局や警政署など五つの行政機関に分散している入管業務を新設の「移民署」に機能、権限とも集中させ、管理を厳格化する。
 この法案は内政部(内務省に相当)が行政院に提出した「入出境および移民署組織条例草案」。管理強化の背景には、中国大陸を含む国際結婚で、配偶者が中国大陸籍の場合は、面接を経ない書類審査だけで“素通り”できる現行の制度が、就労目的など偽装結婚の温床になっている現状があった。
 新設される「移民署」では、中国大陸籍の配偶者に、面談を行うほか入境後の査察訪問のための専門組織を置き、偽装結婚や売春犯罪、不法就労の防止をねらう。
 同時に(1)難民認定制度の確立(2)難民などの収容施設や制度の拡充(3)有能な人材を受け入れる移民政策−なども実施。千六百四十人のスタッフによる行政機構が想定されている。
 台湾紙「自由時報」によると、入境した後に連絡が取れなくなった中国大陸籍の「行方不明者」は判明しているだけで、昨年は過去最高の二千二百六十八人にのぼった。今年は四月中旬までに千百人を超えて、前年より速いペースで増えている。
 一方、売春により昨年摘発された中国大陸籍の女性は、千九百六十七人と過去最高。偽装結婚で中国から組織的に送り込まれた女性が、売春を強要されたケースもある。
 政治工作や犯罪を目的とした不法入境者も少なくなく、中国からの不法入境者は過去十年間で約二万五千人にのぼった、との報告もある。
 同紙は「中国人大量移入による台湾危機を軽視するな」との社説で、中国からの不法入境者増大が台湾社会の治安に脅威を与えていると警告。権限の強い「移民署」の早期設置を求めていた。

◎台湾新幹線、日本連合7社が2工区を新たに受注(2003年1月23日、朝日新聞)
日本の新幹線を初めて輸出する台湾新幹線(台北−高雄、345km)プロジェクトで、三菱重工業や三井物産など日本の7社連合は23日、軌道敷設工事で2工区分(計153km分)を新たに受注したと発表した。受注額は1千億円。これで5工区すべての受注が決まり、日本連合は計4工区を受注した。車両や信号など運行システムも合わせ、台湾新幹線システムの大部分の受注に成功。受注総額は計5370億円に達した。7社はほかに東芝、川崎重工業、三菱商事、丸紅、住友商事。
 台湾新幹線は最高時速300kmで台北−高雄を1時間半で結ぶ。2005年10月に開業予定。

◎台湾の仁宝と東方通信が合弁、杭州に携帯工場(2002年12月11日、NNA)
10日付経済日報によると、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)は中国の通信設備大手の東方通信(イースタン・コミュニケーションズ=イーストコム)と合弁で、浙江省杭州に携帯電話の製造工場を設立する。設立時期や投資金額については明らかになっていない。
この計画は東方通信の施継興総裁が経済日報に対して語ったもの。コンパルは現在、台湾のメーカーとして唯一東方通信のOEM(相手先ブランドによる生産)を行っており、同社が製造したEG860型機は2002年8月に中国で発売された。
施総裁によれば、東方通信もメンバーである普天グループが杭州に3平方キロメートル規模の工業団地を準備しており、同地に合弁工場を立ち上げる予定だ。
中国の携帯電話メーカーは最近、台湾および韓国メーカーに対し前工程の設計と製造を委託し、中国メーカー自身は後工程のモジュールを担当する傾向がある。このため台湾、韓国メーカーはOEMによって、市場を急速に拡大させており、東方通信は台湾はコンパルと提携、韓国にも提携メーカーを持つ。
中国の携帯電話市場の現況について施総裁は、「台湾企業がOEMのビジネスチャンスをつかみたいのであれば、タイムラグなしにビジネスができるよう設計センターを大陸に移すべきだ。また、設計と製造がそれぞれよいモデルを得られるよう、両部門の分離を図るべき」と話している。
同日付経済日報によると、コンパルは来年、松下通信工業から超小型のGD55型の携帯電話機のOEMを新たに受注する。これは松下資訊科技の厳偉誠会長兼CEO(最高経営責任者)が9日、「松下は来年、ハイエンド機種は自社で生産を続けるものの、ミッドエンド、ローエンド機種はOEMに出す方針で、新たにコンパルに新規の発注を行う」と明らかにしたもの。
松下は現在、GD55型機を広達電脳(クォンタ・コンピューター)に1カ月当たり10万〜15万台発注している。厳会長兼CEOによると、GD55型機は中台双方で人気を呼んでおり、台湾では芸能人の周杰倫を使った広告の効果もあって、10月と11月の2カ月間の販売台数は4万台に達した。今後、半年間の販売量は20万台に達する見込み。また中国市場での販売も拡大する。
コンパルは現在このほかに、モトローラ向けにCDMA(符号分割多重接続)機のOEMを行っており、来年の同機の生産台数は1,000万台に達する見込み。

◎政府の景気振興策、公共投資に3千億元(2002年12月5日、NNA)
行政院(内閣)は景気振興策の一環として、今後3年間で公共建設向けに3,000億台湾元を、国債の発行枠を拡大して起債する計画だ。主に政府の国家建設計画である「チャレンジ2008―6カ年重点発展計画」で指定されている重要な公共建設に投入する。3日付工商時報が伝えた。
期間は2003年1月〜2005年12月末で、同計画には住宅施設、廃棄物処理設備、電気・下水道など生活関連インフラ、道路など交通インフラ、観光・都市開発関連などの建設プロジェクトが対象として含まれる。割り当てられる3,000億元のうち、土地コストが占める割合は全体の20%までと決められている。行政院はまた、特別法を制定し、同計画の資金源となる国債の発行枠の上限を撤廃するほか、環境アセスメントや土地登記変更など関連する諸手続を簡略化し、公共投資における行政効率を高める考え。特別法は、予算の編成計画などを行政院経済建設委員会で検討後、策定されるもようだ。
経済建設委は公共投資の拡大によって、2003〜2005年の経済成長率が年ごとに0.38ポイント、0.74ポイント、0.71ポイント伸長すると見込んでいる。2003年については、主計処(予算会計統計庁)の予測(3.52%)を上回り4.25%に達する見通しだ。
経済建設委はまた、投資の実施によって、2003年下半期には378億2,000万元の付加価値が発生し、2005年末までに1,100億元に達すると予想している。同期間中、毎年8万3,830人の新規雇用が創出される見込みだ。
同委員会はこのほか、台湾東部の蘇澳〜花蓮(吉安)を結ぶ「蘇花高速道路」を2003年末に着工する建設計画案をまとめた。計画では、吉安〜崇徳までの平地部分の工事を交通部(運輸通信省)国道新建工程局が行い、蘇澳〜崇徳の山地部分の工事はBOT(建設・運営後に政府に施設を譲渡する)方式で民間の建設会社に委託する。建設費は962億元で、このうち政府が400億元あまりを拠出し、残り500億元をBOTの請負業者に負担させる考えだ。ただし最終的にBOT方式で建設計画を進めるかどうかは、2005年に先に完工する北宜高速道路(北部第2高速道路〜宜蘭県頭城)の運営状況を見てから決定するとしている。

◎台湾・大連化学、フェノール・BPA投資を高雄に決定(2002年5月15日、化学工業日報)
 台湾の大手化学メーカー、長春石油化学グループの大連化学はかねて検討を進めてきたフェノール、ビスフェノールA(BPA)への投資を決めた。立地は予定していた麦寮から高雄に変更、中国石油(CPC)から原料プロピレンの供給を受ける。フェノールはUOP、BPAはレゾリューション(旧シェル法)を導入する。投資総額は8000万米ドルで、来年末から2004年初頭にかけての完成・稼働を目指す。製品は国内のポリカーボネート(PC)樹脂向けのほか、中国などへも輸出する計画。

◎旭硝子、台湾にLCD用ガラス基板クロム成膜ライン(2002年2月19日、化学工業日報)
 旭硝子は台湾で液晶ディスプレー(LCD)用ガラス基板事業を強化する。今年に入って後加工拠点が本格稼働に入っているが、6月にはカラーフィルター(CF)基板向けのクロム成膜ラインを新設する。凸版印刷など大手カラーフィルターメーカーが現地生産を拡大していることから、ガラス基板の付加価値を高めるとともに需要家のニーズに対応する。LCD生産が拡大している台湾での事業活動を拡充することによって、同社が得意とする大型基板分野を中心に需要を取り込む。

◎東芝、台湾の独立系発電事業3社に火力発電プラント(2002年2月13日、日本経済新聞)
東芝は台湾の独立系発電事業者(IPP)3社に火力発電プラント4基を納入する。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル(複合発電)用の設備で、いずれも2004年3月の運転開始を目指す。受注額は合計約1000億円と、同社の重電部門の売上高の2割近くを占める規模。出力49万キロワットのプラントを星能電力(彰浜発電所)に1基、森覇電力(豊徳発電所)に2基納入。さらに嘉恵電力(嘉恵発電所)へ住友商事を通じて出力67万キロワットのプラント1基を納める。
 コンバインドサイクルは天然ガスを高温で燃やすガスタービンと、その排熱を利用する蒸気タービンを組み合わせて発電効率を高める仕組み。東芝は蒸気タービン発電設備を生産し、ガスタービン発電設備は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と三菱重工業に製造を委託する。排熱回収ボイラーなどその他の設備は日本や韓国のメーカーに委託する計画だ。

◎台湾証券市場の売買代金、東京に迫る(2002年2月13日、日本経済新聞)
 今年に入り東京株式市場の低迷が続き、売買代金が台湾市場を下回る日が増えている。日経平均株価が1983年以来の水準に逆戻りし、年明け後の1日平均売買代金が6000億円台にとどまっているのに対し、台湾では景気回復期待を追い風に資金が株式市場に流入、5500億円台(円換算)と東京に迫る勢い。アジアの中での日本の地盤沈下が鮮明になってきた。
 東京市場は企業業績の回復が不透明なうえ、銀行の不良債権問題の重しを抱え、機関投資家は様子見姿勢を強めている。売買が目立つのは証券会社の自己売買部門とインターネット証券経由で短期売買を繰り返す一部の個人投資家という状況が続いている。昨年の東京市場(東証1,2部合計)の1日平均売買代金は、台湾市場の3倍近くあったが、今年に入って接近する日が目立ち始め、うち5営業日で売買代金が逆転した。台湾では昨年12月以降の48営業日中、43営業日で1000億台湾ドル(約3800億円)を上回った。一般に1000億台湾ドルを超えると活況とみなされる。

◎荏原、台湾でごみ焼却炉を受注(2002年2月5日、日本経済新聞)
 荏原はごみ焼却炉の海外販売を拡大する。東洋エンジニアリングや千代田化工建設などと昨年4月に共同設立した海外向け環境プラント事業子会社などグループ会社と協力。国内で培った技術や実績を武器に海外売上高の倍増を目指す。
 台湾で同社の海外案件としては最大規模の案件を、地元の環境メーカーと共同で台湾行政院環境保護署から受注した。基隆市に建設予定の1日処理量が600トン(同300トン×2基)の焼却炉で、受注総額は約80億円。2004年5月に完成する予定。
 台北市にある荏原の子会社が炉を設置。設計やプロジェクトマネジメントを荏原が担当する。東洋エンジなどと設立したエンバイロメンタルエンジニアリング(東京・港)も調達などで協力する。
 中国でも1号機が4月に稼働する。ハルビン市に建設中の1日処理量200トンの施設だ。この施設で性能を実証して中国での受注活動につなげる。

◎台湾FPCがPDP事業に進出、FHPなどと合弁(2002年2月4日、化学工業日報)
 台湾プラスチック(FPC)はPDP(プラズマディスプレーパネル)事業に進出する。富士通日立プラズマディスプレイパネル(FHP)、台湾の液晶ディスプレー(LCD)大手のAUオプトロニクス(AU)の3社で合弁を設立することで合意した。FPCは生産設備、技術をFHPから導入し、今後の成長が見込めるFPD(フラットパネルディスプレー)分野で事業拡大を狙う。

◎荏原、台湾からゴミ処理用ストーカー炉を受注(2002年1月18日、日刊工業新聞)
 荏原は台湾行政院環境保護署から、基隆(キールン)市に建設する1日600トン規模のゴミ処理のストーカー炉を受注した。地元の環境装置メーカーである信誼(シンギ)とのコンソーシアムで、受注金額は80億円。1トン当たりの受注額では1330万円と日本での一般ゴミ処理向けストーカー炉の3分の1程度の安さになる。このため荏原は昨年スタートした海外環境エンジニアリング業務を行うエンバイロメンタルエンジニアリング(東京)と台湾の子会社荏原開立(カイレイ)をフルに活用し、機材はすべて海外調達で対応、アジアでのゴミ処理設備の新たな受注への先駆けとしていく。
 同案件はドイツ企業と台湾企業のコンソーシアムが受注していたが、台湾企業の経営が行き詰まりプロジェクトがやり直しとなった。ストーカー炉(300トン2基)としては同社の海外受注案件で最大規模。完成は2004年5月。80億円のうち荏原が28億円分を引き受ける。

◎エチレン設備で火災事故−台湾FPC(2002年1月16日、化学工業日報)
 台湾プラスチック(フォルモサ・プラスチック・カンパニー)グループ傘下のフォルモサ石油化学が麦寮石化コンビナートに有するエチレン第2系列で11日、火災事故が発生した。現在、ナフサクラッカーを含め停止しているが、同社では2週間以内に復旧するとしており、供給および製品市況への影響は軽微とみられる。

◎ホンダ、台湾に現法設立―3月から営業開始(2002年1月14日、日刊工業新聞)
 ホンダは台湾に全額出資の現地法人「台湾本田股分有限公司」を設立、3月から営業を始める。これまでは現地資本の三陽工業がホンダと技術援助契約を結び「アコード」など年間2万台(2001年見込み)を生産・販売していた。ホンダでは同社との関係を清算して経営の自由度を高め、地域内での部品・完成車の相互供給などでアジア市場の拡大に対応する。
 新会社は資本金1億7000万間(約6億円)、まず輸入販売から始めるが将来は自社工場の新設も検討する。三陽工業とは2輪車事業でも特許使用許諾契約を結んでいたが、この関係も解消する。

◎日本人の買春は許さない 台北市長、取り締まり強化指示(2002年1月12日、朝日新聞)
 台湾の性風俗を体験ルポも交えて紹介した日本の本が波紋を巻き起こしている。この本は女性の写真や風俗店の地図を付けた買春ガイド風の「極楽台湾」。昨年末から台北の日系書店に並び、これを台北市議が取り上げたため、馬英九・台北市長が激怒。「日本の観光客は歓迎するが、買春は別だ。一人でも来たら必ず捕まえる」と息巻く市長は12日、警察に取り締まりの強化を命じた。
 馬市長は昨秋に台北の風俗営業の取り締まり運動を展開したが、思ったほどの成果が上がらず、日本の性風俗本が市長の怒りに火を付けた形だ。台湾メディアもこの騒ぎを大きく取り上げ、「日本では30年前の買春観光のイメージがいまだに残っている」と嘆く新聞への投書もあった。
 一方で、台北と並んで紹介された南部の高雄市の謝長廷市長は「騒げば本の宣伝になるだけ。『極楽日本』で新宿の様子を紹介すればいい」と、冷めた対応だった。

◎台湾で初の大型ショッピングモール(2001年10月29日、産経新聞)
 台湾で初の大型ショッピングモール「微風広場(Breeze Center)」が10月26日、台北市内にお目見えした。国際ブランド品、高級ファッション、日曜雑貨などのほか、日本の紀伊国屋書店や東急ハンズとの提携店、日本食品も豊富なスーパーマーケットなども入っており、地元台北っ子だけでなく、日本からの観光客にも新しいショッピング名所となりそうだ。
 場所は、市内地図の中心点からやや東南部。復興南路と市民大道の交差点の東北部一帯にひろがる場所で、台湾製糖や清涼飲料の黒松企業の工場があったところだ。地下鉄(MRT)の復興忠孝駅から北へ歩いて数分のところにある。
 同ショッピングモールはA区、B区に分かれ、それぞれ地下3回、地上9回。地下5回、地上2階。総面積は7590平方メートル。数十にのぼるテナントのほか、最新設備を導入した映画館6館やイベント広場もある。 紀伊国屋書店(B区地下1回)はことし夏まで、近くの太平洋そごう百貨店に入っていたものが移転したもので、売り場面積はこれまでより数割ほど大きく、日本書の数も大幅に増えた。
11月には、この微風広場から東へしばらく行ったところに「金華城」と呼ばれる別の新しい巨大ショッピングモール(微風広場の3倍)も開店する予定で、このあたりは近くの太平洋そごう百貨店、中興百貨店を含め一大ショッピングセンターとなりそうだ。

◎新交通法規が9月より施行(2001年9月2日、民生報)
 台湾では9月1日より、新しい交通法規が施行され、シートベルトの着用が義務づけられたほか、運転中の携帯電話の使用が禁止となった。運転席および助手席でシートベルト未着用の場合、一般道路で1,500元(約五千円)、高速道路で3,000元から6,000元(約1万〜2万円)の罰金、携帯電話使用は、自動車が3,000元(約1万円)、バイクが1,000元(約3,500円)の罰金が課せられる。
 台北市警察局は同日零時より、136人の警官を動員し、市内の各主要道路で特別取り締まりを開始した。この日1日で、シートベルト未着用で摘発された件数は3,851件に達した。携帯電話使用については、発見が難しいこともあり、90件に止まった。
 シートベルトは、八五年から高速道路での着用が義務づけられていたが、交通部の統計によると、施行以降、交通事故による死亡者は三分の一以上減少した。今回の法改正では、公共バスでも最前列など前に座席のない場所に座る乗客にはシートベルト着用が義務づけられている。違反すれば乗客に罰金が課せられる場合があり、旅行者も注意が必要だ。

◎おばけの月(2001年8月27日、産経新聞)
 台湾はいま、「おばけの月」(あるいは「鬼月」ともいう)に入っている。旧暦の7月1日(ことしは8月19日)から1ヶ月間を、台湾ではこう呼び、さまざまな宗教行事やしきたりが行われる。
 この月(とくに中元とよばれる旧暦7月15日)に霊界から霊が出てくるという道教の教えや、同じく旧暦7月15日に死者の霊をとむらう仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)から来ている風習といわれる。 ともかく、この月は霊界や地下から恐ろしい鬼や悪霊、おばけが出てくる。だから、その鬼やおばけ(台湾では改まって「好兄弟」という)をなだめるため、食べ物などを備えて供養をする。また、鬼やおばけにつかまらないように、この月はできるだけ外出などの活動を避け、じっとしているようにといわれている。とくに結婚、新築、旅行、入院、手術などはタブー(禁忌)とされ、きちんと守るひとたちがいまも多い。
 台湾にはこのように旧暦にそって行われる風習が数多くあるが、それらが日常生活と密接につながっており、台湾人の優しく豊かな精神性をつくっている。

◎バレンタインデー(2001年8月27日、産経新聞)
 台湾にはバレンタインデーが年に2度ある。ひとつは2月14日の世界的なバレンタインデーで、台湾では「西洋情人節」と呼ぶ。「情人」とは恋人の意味だ。「情人節」とはどこか心ときめく響きがある。 もうひとつは、旧暦7月7日(ことしは8月25日)の七夕(たなばた)の日。台湾では「七夕情人節」と呼ぶ。第2のバレンタインデーだ。
 なぜ、七夕が「情人節」かといえば、ご想像の通り、この日は天の川で、恋人どうしの牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)が年に一度のランデブーをする日―というところから来ている。また、台湾では、七夕の日は雨というジンクスがあるが、それは天で牽牛と織女が再会のうれし涙を流すからだという。
 日本と台湾ではバレンタインデーの祝いかたの習慣がちがう。日本では女の子が男の子にチョコレートを贈るのが習いだが、台湾では西洋情人節も七夕情人節も、どちらも男女の区別なく、それぞれがたがいに贈り物をし、内容もチョコレートに限っていない。恋人たちはこの日、いっしょに食事をしたり、映画をみたり、夜空を見上げたり、なかには結婚式を挙げたりして、特別な日として過ごす。
 もちろん、「情人節」セールもしっかり行われる。全体的には「西洋情人節」の方が世界的ということもあってか、「七夕情人節」より盛り上がって売り上げも伸びるそうである。

◎台北市、一年間で24%ゴミ減量(2001年8月23日、民生報)
 台北市は昨年の七月からゴミ収集の有料化(専用のゴミ袋(有料)を市民に購入してもらう)を実施しているが、この一年間に収集されたゴミの量は前年より約24%も減少したことが明らかになった。
 同市環境保護局によると、一昨年に収集したゴミの量は約135万トンで、昨年は103万トンにまで減少したという。有料化がゴミの減量に有効であることが証明されたわけだが、台北市民1人当たりのゴミの量(1日分)に換算すると1.07%となり、この数値はその他のアジアの都市、たとえばソウルの0.61%と比べると高いことがわかる。台北とソウルの違いは、後者が台所の生ゴミを全面的回収している点にある。このため、台北市では第二段として今後台所の生ゴミ回収を実施することにしている。
 現在台北市のゴミ処理コストは30億元(約百億円)で、ゴミ袋の販売収入はそのうちの三分の一をまかなうだけという。ちなみに、各家庭のゴミ袋の平均支出額(年間)は77〜104元(約260〜360円)。

◎貧富の格差5.55倍に(2001年8月18日、民生報)
 行政院主計処が発表した昨年の家庭収支調査によると一世帯当たりの平均所得額は約891,000元(約311万円)で、一昨年の889,000元(約307万円)より0.3%増加した。また、最高所得者層の所得額と最低所得者層のそれとを比較したいわゆる貧富の差は5.55倍に拡大し、一九六四年以来の最大幅となった。貧富の格差の拡大について主計処では「高齢者と核家族の比率が増加し、一世帯当たりの就業者が相対的に減少していることと、第四・四半期以降の失業率の上昇が主な原因」と見ている。
 ちなみにこの数値は日本の4.7倍や韓国の5.3倍より高いが、フランスの7.5倍、シンガポールや香港の9倍より低く、世界的には平均レベルにある。

◎台湾・奇美実業、PC樹脂拡大競争に参戦(2001年7月24日、化学工業日報)
 奇美実業は、旭化成との合弁会社「旭美化成」(奇美実業51%、旭化成49%出資)が台南で建設中のポリカーボネート(PC)樹脂について、数年後をめどに年産25万トン規模まで生産能力を拡大する方針だ。関係筋が明らかにした。おう盛な需要の伸びに対応するとともに、先行メーカーの拡大競争に参戦、アジア市場で確固たるポジションの確立を目指す。

◎台湾でこんどは20元の新コイン発行(2001年7月23日、産経新聞)
 新100元紙幣に続いて新たに20元硬貨が9日発行された。注目はデザインで、表裏に先住民文化が始めて採用された。新紙幣からはこれまでの蒋介石肖像が姿を消しており、台湾の民主化時代を反映しているようだ。

◎中国で塩ビ樹脂生産計画−台湾FPCグループ(2001年7月19日、化学工業日報)
 台湾プラスチックス(FPC)グループが3億ドルを投じて中国本土に石油化学プラントを建設する計画が浮上している。建設するのは塩化ビニル樹脂(PVC)プラントで、実現すれば同グループにとって中国で初のPVC生産拠点になる。台湾政府は5000万ドルを超える対中投資を原則禁じているが、中国への進出ブームが高まるなかで産業界からの規制緩和圧力も増している。FPCグループは中国での投資プロジェクトを管理する事務所も上海に開設する予定で、今後、中国での投資を積極化する。

◎北京五輪に経済界は熱い視線(2001年7月16日、産経新聞)
 2008年の夏期オリンピックが中国・北京で開催されることが決まったが、台湾では、「直接中国の武力の脅威にさらされる機会が減り、中台関係の融和と改善が期待できる」とおおむね肯定的に受け止められている。特に経済界からは「中国でのビジネスチャンスが拡大する」と、歓迎の声が高い。
 北京は13日にモスクワで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2008年の夏期オリンピックの開催都市に決まった。北京にとっては2000年の開催をめぐってシドニーに惜敗した8年前の雪辱を果たした形となった。
 政府は北京開催の決定直後に、武力不行使の呼びかけを含む祝福の声明を発表。中華台北オリンピック委員会(CTOC)も、中国オリンピック委員会(COC)に祝電を打った。

■中台関係の改善に期待
 決定から一夜明けた翌14日の台湾各紙も、一部を除いて北京五輪開催におおむね肯定的な評価を下した。これは中国が五輪開催へ向けて、国際社会と協調していく必要に迫られると見られるためだ。国内で厳しい人権弾圧を行い、周辺地域で武力衝突を引き起こすなどした場合、北京五輪は米国を始めとした先進諸国のボイコットを受ける可能性が高く、成功が難しくなるからだ。このため台湾への武力行使の可能性が減り、中台関係が改善するという期待が高い。『聯合報』『中国時報』が行った電話アンケートでも、「北京五輪は中台関係の改善に有益」という回答が、『聯合報』で55%、『中国時報』で47%とそれぞれ最も高くなった。
 しかし、中国が五輪を対台統一工作にフルに利用する懸念もまた高い。中国は早速聖火リレーのコースに台湾を含めたいという意向を示しているが、台湾政府は「平等互恵と国家の尊厳が守られること」が前提条件として、「中華人民共和国の一地域」として聖火リレーが通過することには拒否する姿勢だ。また呂秀蓮副総統も「中国は台湾にとって脅威であることを忘れてはならない」と釘をさした。

■「700億米ドルの商機」に熱い視線
 一方、経済界は北京五輪を「久々の明るいニュース」と歓迎している。台湾経済は現在、地場企業と外資の中国移転や製造業のリストラが相次ぎ、株価指数も6年ぶりの安値を記録するなど、1950年代以降では最悪とも言われる不況に苦しんでいる。
 こうした中で、台湾企業には「急成長を続ける中国市場こそ活路」というムードが広がっており、「北京五輪景気」で中国の成長がさらに加速する期待もあって、北京五輪は絶好のビジネスチャンスと受け止められている。五輪の恩恵を受ける業界は、最も直接的なスポーツ用品業界をはじめ、通信設備やコンピューター、土木、建設、不動産、食品、商業など幅広い。また協賛の形を取れば、自社ブランドの宣伝に大きなプラスだ。
 台湾パソコンの最大手・エイサー(宏碁電脳)は台湾企業の中で唯一、五輪協賛企業として既に名を列ねている。北京五輪では中国のパソコン最大手の聯想(レジェンド)グループと共同で通信システムのサービスを提供する構想で、北京五輪を契機にブランド力をさらに高めたい考えだ。また自転車最大手の巨大機械工業(ジャイアントMFG)も、「北京五輪で、中国での売上げは2008年に昨年の3.6倍になる」と期待は高い。
 ただ、企業にとってはビジネスの拡大は死活問題だが、一方では「台湾の空洞化がさらに進行する」「中国経済に組み込まれ台湾の地位が低下する」との懸念の声も出ている。

■中国は変化、影響は台湾に
 中国は五輪を開催することによって、今後7年間でさらに改革開放政策が進み、経済、社会制度、ひいては対外姿勢など変化を遂げて行く可能性は高い。そして中国の変化に応じて、台湾の社会と経済も大きく影響を受けることになりそうだ。

◎台湾で新しい100元札が発行(2001年7月2日、産経新聞)
 台湾では7月2日から新しい100元札が発行された。昨年7月の1000元札、その後の500元札の刷新に続くもので、陳水扁政権発足後に始まった一連の紙幣刷新がこれで完了した。新時代に合わせたデザインにするのと、偽造防止が主な目的。また、発行元も従来の台湾銀行から、台湾(中華民国)の中央銀行に代わった。
 新100元札は、従来の100元札と幅(70ミリ)は同じだが、長さが150ミリと約10ミリ短くなった。ちなみに新札は幅はどれも70ミリで同じだが、長さは1000元札が160ミリ、500元札が155ミリと5ミリずつ小さくなっている。
 新1000元札は青、新500元札は茶が基調だったが、新100元札は、これまでと同じく赤が基調となっている。これには訳がある。台湾では100元札は旧正月のときなどのお年玉(紅包=ほんぱお)用に欠かせない。紅包は赤が好まれる。だから、100元札は赤でなけれならないのだという。
 新100元札の図柄は、従来のものとあまり変わらず、表面には従来と同じく国父・孫文の肖像を使っている。新1000元札、500元札のときは、従来の蒋介石の肖像が消え、子供たちや少年野球の図柄になって話題を呼んだが、新100元札は孫文そのままで落ち着いた。1000元、500元札から蒋介石の肖像が消えたのは、戦後、台湾を独裁支配した蒋介石に対する台湾人の複雑な思いがそうさせたといわれる。
 偽造防止策は、新100元札にも14種類が導入されているが、もっとも簡単に確かめられるのは、1000元札、500元札と同様、表面の額面を示す数字。たとえば100と言う数字を角度を変えてみると、色が茶、緑、赤、紫などに変化する仕掛けだ。
 ちなみに、台湾元の正式の単位は「円」の旧字(正字?)の「圓(ユエン)」。中国語では読みが同じなので一般には「元(ユエン)」が用いられるが、紙幣には「圓」と印刷されている。

◎台湾の大王電子、中国工場拡大・半導体増産(2001年7月6日、日本経済新聞)
 台湾の半導体メーカー、大王電子は約4億ドルを投じて中国に半導体工場を新設する。直径8インチ(200ミリ)のシリコンウエハー換算で年間2万枚の生産能力を持つ工場を2003年初めに稼働させる計画だ。新工場は大王電子の中国関連会社、南科集積電子が広東省珠海市に設ける。昨年末に稼働した同社の直径6インチ(150ミリ)ウエハー工場に隣接する8800平方メートルの敷地を珠海市政府から無償で譲り受ける。
 各種デジタル機器向けの半導体製品を中国の家電メーカーなどに供給する予定。ウエハーに電子回路を描く線幅が0.20マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートルという微細加工技術を持つ中古の製造装置を「米国や日本のメーカーから購入することで投資額を低く抑える」(南科集積電子の呉緯国董事長)という。米政府は0.25マイクロメートル以下の製造装置の対中輸出を認めていないが、呉董事長は「中国の世界貿易機関(WTO)加盟を受け規制は緩和される」と期待している。

◎ターゲット事業でバルザースと提携―三菱マテリアル(1999年4月13日、産業新聞)
 三菱マテリアルは12日、光磁気用スパッタリングターゲット材事業でリヒテンシュタイン国のバルザース社と業務提携を結んだと発表した。MD(ミニ・ディスク)向けなど同ターゲット材の需要が欧州で増加していることに対応するもので、すでに今月から提携業務を開始している。三菱マテリアルでは今回の提携により欧州地区での売上高を99年度で4億円、2001年で5倍の20億円を予想している。
 三菱マテリアルは半導体や液晶、光記録用などを手掛けるターゲット材メーカーで、同事業の売上高は年間100億円規模に達している。中でも、光磁気用については世界シェア60―70%を持ち、ターゲット材1枚によるディスクの処理枚数を増やした超低透磁率型の製品などはディスクメーカーからの評価も高いという。一方のバルザース社はスパッタ装置などを手掛けるメーカーで、光・光磁気用スパッタ装置では業界での販売シェアはトップ。
 今回、両社が提携した業務内容はターゲット材本体を三菱マテリアルの三田工場(兵庫県三田市)から供給、ボンディングおよび仕上げ加工を現地で行うというもの。また、販売と顧客サポートについてもバルザース社が担当することになっている。
 三菱マテリアルでは昨年10月から台湾において光・光磁気用スパッタリングターゲット材の後工程を開始するなど、同分野におけるグローバル戦略を加速している。同社ではバルザース社との提携により、今後は欧州地区での納期短縮や品質・技術面でのサポート体制を一層強化していく方針だ。

◎三菱マテリアル(1998年7月22日、産業新聞)
 三菱マテリアルは21日、スパッタリングターゲット材事業で台湾へ進出すると発表した。CD-RW(書き換え型CD)やMD(ミニディスク)など光ディスク用ターゲット材の需要が台湾で増加していることに対応、現地子会社でボンディング加工に取り組んでいく。操業開始は今年10月の予定で、生産規模は月1000枚程度でスタート、将来的には月2000枚規模への拡張も検討している。
 ボンディング加工を行うのは、同社の全額出資子会社で円板コンデンサーを生産するMMCエレクトロニクス台湾社(台中市)。既存の工場建屋内にクリーンルームとボンディング装置を設置して、リサイクル使用される冷却用銅板(バッキングプレート)にターゲット材を全面はんだ付けする最終工程を手掛ける。ターゲット材本体は国内の三田工場(兵庫県三田市)から供給する。
 台湾進出の背景はCD-RWやMD、DVD-RAM(書き換え型DVD)など光ディスク用ターゲット材の輸出がここ最近増加しているため。台湾では96年に光ディスク専業メーカーが数社誕生しており、今後はパソコン外部記憶装置用にとどまらず、AV用デジタル記憶分野でも需要増加が見込めるという。
 三菱マテリアルのスパッタリングターゲット材事業の年間売上高は約100億円。特に書き換え用光ディスクの分野では世界シェアの50%以上を占める最大手。
 台湾進出を決めたことで同社では現地でのサービス・管理体制を一層強化するとともに、将来的にはLCD(液晶ディスプレー)や半導体用ターゲット材など含めて同事業の規模拡大に努めていく考えだ。

◎台湾・AUオプト、PDPなど相次ぎ製品化(2001年7月4日、化学工業日報)
 台湾の大手半導体受託生産会社とパソコンメーカーが9月に設立する表示装置合弁会社、AUオプトロニクスは、2002年をめどプラズマディスプレーパネル(PDP)とLCOS(リキッド・クリスタル・オン・シリコン)、低温ポリシリコンLCD(液晶表示装置)、それに有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を製品化する。同社は中・小型LCDを主力にしているが、最先端ディスプレー市場を狙ってパートナーと提携し、新工場を建設する計画。これによってフラットパネルディスプレー(FPD)の品揃えを強化し、2004年には1000億台湾ドルの売り上げを目指す。

◎台湾・中国鋼鉄、日本勢に出資要請へ(2001年7月4日、日本経済新聞)
 台湾鉄鋼最大手の中国鋼鉄は3日、約7000億円を投じ、世界最大級の製鉄所を台湾南部の台南県に建設する計画を明らかにした。アジアで大型製鉄所を建設するのは、1987年に稼働した韓国・浦項総合製鉄の光陽製鉄所(光陽市)以来約20年ぶり。中国鋼鉄の郭炎土会長が7月下旬に来日、新日本製鉄とNKK・川崎製鉄グループに出資や技術協力を要請する。
 鉄鋼国内首位の新日鉄は韓国の浦項と包括提携、中国の上海宝山鋼鉄からも出資要請を受けている。一方、2002年にNKKと経営統合する川鉄は韓国の現代ハイスコと包括提携し、「新日鉄―浦項連合」に対抗する。国内で激しく競い合う両陣営はいずれも中国鋼鉄との提携に意欲を示しており、中国鋼鉄がどちらの陣営に加わるかで、アジアの鉄鋼メーカーの勢力図が大きく変わる。台南県の新製鉄所は台湾当局の正式認可を受けたうえで、来年をめどに着工。2010年には粗鋼生産能力で1400万トンの製鉄所にする。鉄鉱石やコークスを投入して銑鉄を作る高炉を4機設置する計画だ。

◎テクノファイン、台湾社に薄膜形成用材料の技術供与(2001年7月3日、日本経済新聞)
 電子材料加工のテクノファイン(川崎市、上野順社長、044・986・7041)は台湾の鉄鋼大手、中国鋼鉄に技術供与し、9月から台湾で薄膜形成用材料の生産を始める。液晶表示装置(LCD)や半導体の薄膜形成に使うターゲットと呼ぶ材料を生産、台湾と中国を中心に共同販売する。台湾だけでなく、中国も液晶、半導体などの世界の生産基地となるのをにらみ、有力企業と組んでアジア展開を進める。
 薄膜形成手法のスパッタリング(真空放電ガス薄膜形成)では、ターゲットにアルゴンイオンをぶつけて、飛び出る原子を基板に蓄積する。テクノファインは薄膜の用途、機能に合わせ、金属、セラミックス、樹脂など様々な素材から成るターゲットを生産するノウハウを持つ。
 テクノファインは近く中国鋼鉄と提携契約し、生産技術を提供する。中国鋼鉄は高雄市の本社工場を中心にターゲットを生産し、最終加工まで手掛けて出荷する。生産規模など詳細は今後詰める。台湾と中国市場は中国鋼鉄、日本と韓国市場はテクノファインがそれぞれ販売する。

◎深江パウテック、台湾社から流動層造粒乾燥機輸入販売(2001年6月22日、化学工業日報)
 粉体機械メーカーの深江パウテック(本社・神戸市北区、不動雅一社長)は、台湾の元成機械と輸入販売代理店契約を締結、今月から流動層造粒乾燥機の販売を開始した。同製品は低コストで造粒、乾燥性能に優れており、すでに欧米アジア諸国で300台以上の販売実績を有している。深江パウテックはこのほかにも海外メーカー数社と代理店契約を結んでおり、今年度から相次いで新製品を市場投入している。これら海外製品の拡販により、5年後には全体の売上高を倍増する。

◎台湾に新ビール登場(2001年6月18日、産経新聞)
 台湾産ビールといえば、これまでは一種類の「台湾ビール」だけだった(びんビールには「生」もあるが)。そこへ、このほど「Yankee(ヤンキー)」という名の新しい台湾産ビールが登場した。
 台湾では酒、タバコは公売局(専売局)の独占事業で、民営化されていないが、公売局がこのほど、シェアを拡大する外国産ビールに対抗して、輸入ビール市場でのシェア獲得を目指して製造、発売に乗りだしたものだ。
  米国バドワイザー社の技術を導入して製造したラガー・ビールで、「切れがよくマイルド」な味だそうだ。缶のデザインは米国をイメージしてか、赤と青の色を基調にしたアメリカっぽい感じになっている。
  台湾の輸入ビールは日本、米国、ドイツが主流で、台湾全体のビール市場の12%を占めているが、公売局では、新ビール「ヤンキー」をこの市場に投入して、1年以内にその半分程度のシェアを獲得したいと意気込んでいる。
  販売の最大の武器は、味もさることながら価格。ヤンキーの市販価格は従来の台湾ビールと同じで1缶25台湾元(約90円)。他の輸入ビール(30元〜40元)に比べ、割安になっている。台湾旅行の際にはぜひ試していただきたい。

◎中台、緊張高まる(2001年6月17日、産経新聞)
 中国と台湾の間で緊張が高まっている。中国人民解放軍が10万名の大規模な兵力を動員し、台湾海峡一帯で史上最大規模の軍事演習を繰り広げているなか、台湾は今週中にパトリオットミサイルの発射訓練を行うと見られている。
 華僑を対象にした中国紙、僑報は17日、台湾の軍消息筋の話として「台湾軍が19〜22日中にパトリオットミサイル発射訓練を実施する」とし、ミサイル発射訓練の場所は台湾南部の屏東県九鵬基地だと伝えた。この台湾筋は「これ以上詳しい発射時間と日程は訓練保安のため、事前に公開されない」としながら、「今回の訓練は、定期訓練の一環であり、不必要な憶測はしないでほしい」と述べた。
 これに先立ち、台湾の伍世文国防相も、6月中にパトリオットミサイル発射訓練を行うことを確認した。伍国防相は、特に「これは米国本土以外では初めて行われる発射訓練だという点で意味深い」と述べ、中国の威嚇に備え、台湾と米国が足並みを揃えていることを示唆した。
 今回のパトリオットミサイル発射訓練には米軍関係者も参加し、台湾の陸海空軍の観測チームと共に試験結果を分析する予定だと、台湾の軍関係者が明らかにした。台湾はこの観測のため、MPQ-53レーダーとMSO-104接戦統制センターの装備などを重要観測地点にあらかじめ配置したとされる。
 中国は、台湾に隣接した福建省東山島で10万名の大兵力と先端装備を動員し、史上最大規模の軍事演習を繰り広げている。中国人民解放軍は、今回の演習で台湾本島上陸を想定した総合上陸作戦に重点を置いているものとされ、台湾を刺激している。

◎台湾人は大陸目指す、64%が就職希望(2001年6月13日、産経新聞)
 台湾の大陸進出熱がますます高まっている。企業1,610社を対象とした調査では、7割が両岸の「三通(通商、通航、通信の直接往来)」に賛成と回答。また、一般市民に対する求職サイトの調査では、64%が「大陸で就職してもよい」と答え、企業のみならず、市民の間でも大陸でチャンスをつかもうという意識が強いことがうかがえた。
 台湾経済部の委託で企業1,610社を対象に行われた調査によると、両岸の「三通」について、70%近くが「賛成」と回答。「どちらでもよい」は26.21%、「賛成しない」はわずか4.84%で、経済交流強化を望む企業が多いことが分かる。
 業種別では、家電、がん具、基本金属製品、通信機器、精密機器、化学、機械で「賛成」の比率が高かった。
 両岸が世界貿易機関(WTO)に加盟した場合、25%が「大陸での投資を増やす」と回答、「台湾での投資を増やす」の13%を上回った。業種別では、プラスチック、繊維製品、靴・傘・帽子、電子製品、機械、電機、化学、通信機器、家電、がん具、輸送設備、家具で「大陸での投資を増やす」の比率が20%を超えた。
 一方、「台湾での投資を増やす」が20%を超えたのは電子製品のみ。また、「台湾での投資を減らす」は11.2%に上ったが、「大陸での投資を減らす」はわずか1.61%だった。

■勤務希望先1位は上海
 大陸進出熱は企業のみならず、一般市民の間でも高まっている。台湾の有力求職サイト「104人力銀行」が昨年末に行った「求職者西進調査」(中国大陸での就職に関する意向調査、有効回答1万5,000件)では、64%が大陸での就職を希望。うち「就職を強く望む」は25.1%、「就職したい」とした人は39%だった。
 理由としては、「大陸市場に将来性を感じる」30%、「自分の力を発揮するチャンスがある」とした人が24.5%で、かつての大部分が「給与が高いから」としていた状況から様変わりしている。
 「就職してもよい」と回答した人のうち、希望の就職先は、企業別では1位が「現地の台湾企業」、次いで「現地の米国企業」。地域別では上海がトップだった。別の統計によると、上海を中心とする長江デルタ地域で就職する台湾人が年々増え、既に30万人が居住しているという。
 大陸就職の不安な点としては、治安や不透明な法律、政治的要素を挙げる声が多かった。<全国>

◎台塑、大胆な環境保護計画を発表 全家庭の生ゴミと豚の排泄物を無料回収(2000年6月1日、中華週報、1956号)
 台塑(台湾プラスチック)グループの王永慶会長は四月二十九日、環境問題について行政院農業委員会メンバーや国内の養豚業者の代表、環境保護団体代表、台湾大学の学者らと共同でおこなった討論の席上、「遅くとも年末までに台湾全家庭の台所で出る生ゴミと、全国の養豚場の豚の排泄物を無料で回収する」と発表した。台所の生ゴミの一部は熱処理などを加え特殊加工したのち豚の飼料として活用し、残りは豚の排泄物と一緒に独自のシステムで有機肥料として再生するという。 
 家庭の生ゴミ回収についてはすでに専用のプラスチック製バケツを設計済みで、全国の約四百万戸の各家庭に二個ずつ配布し、週に三回、指定の場所で決まった時間に回収をおこなう計画だ。回収した生ゴミを集めて醗酵させ肥料を作るための堆肥槽を建設する土地もすでに決定しており、桃園県(四十ha)、彰化県(十三ha)、屏東県(五十ha)を予定しているという。 
 王会長は二年ほど前、家庭の生ゴミと養豚場の豚の排泄物がもたらす環境汚染について、当時台北市長だった陳水扁氏や環境保護局長らと話し合ったことがあるが、結論には至らなかった。「現在台湾では生ゴミや豚の排泄物は河川に流れ込み、大地を汚染している。ゴミの分別がきちんとなされず、生ゴミは多く水分を含んだまま一般のゴミといっしょに焼却炉に入れられ、有害なダイオキシンの発生につながっている。生ゴミで豚を飼い、豚の排泄物で肥料を作り緑化をはかるこの方法は有効なリサイクルだ。政府まかせでなく、みずから解決することにした」と、計画の動機を語っている。 
 台湾プラスチックは現在、六カ所のナフサ工場を持ち、一万六千人の職員を抱える台湾でもトップクラスの大企業だ。そこで出される生ゴミの量は一日あたり四・五トンにのぼる。「倹約経営の神様」と称され尊敬されている王会長は、第六ナフサ工場の開設と同時に有機肥料工場を建設し、二十四時間無人稼働の最新生ゴミ飯処理システムを導入した。これにより、四・五トンの生ゴミは一日で三百キロの有機肥料に変えることができるようになった。 
 こうして作られた有機肥料と一般の肥料を芝生の生育を通して実験したところ、結果は一般の肥料より三・五倍もの効果が認められたという。この有機肥料を使えば、野菜や果物、植物の増産が可能になるという。 
 第六ナフサ工場では敷地内におよそ二百ヘクタールの緑地があるが、この有機肥料を使うことにより毎月、三〜四百万元(約千五百万円〜千七百万円)を節約できるという。今後、リサイクルしてできた有機肥料は同社のブランド入りで市場に販売することも検討している。 
 王会長はもともと、有機肥料の製造と販売以外に、生ゴミで作った飼料を与えて「環境保護豚」を飼育する構想をもっていた。だが討論の席上、養豚業者から「自分たちの生計が脅かされる」との強い反発に遭い、養豚の計画は中止することになった。今後の計画の具体的推進について王会長は、「各市町村に新たな負担を求めるようなことはないが、実施には協力して欲しい」と語っている。

◎パソコンが製造業売上首位 目立つハイテク産業の躍進(2000年1月14日、工商時報)
 昨年(1999年)の台湾の製造業において、パソコンメーカーの宏碁電脳(エイサー)が売上1,278億元(約4,500億円)を記録し、売上高第1位となった。このほか製造業売上高上位10位以内に情報技術産業が7社も入り、前年1位であった中国鋼鉄は8.7%の減収となって3位に落ちた。2位の南亜プラスチックは前年比14%の増収となり、今年は売上1,100億元(約3,500億円)を目指している。
 昨年マイナス成長となった中国鋼鉄は、今年は1,000億元突破を目指しているが、昨年の順位の変動は、台湾では情報通信産業がますます優位になりつつあることを示している。この波のなかで昨年4位の宏達電脳は今年25〜30%の増収を目標とし、5位の台積電路は目標を公表していないものの、宏電と同じく1,000億元突破を目指しているものと思われる。台湾ハイテク業界の勢いから見れば、情報通信関連で売上1,000億元を突破する企業が数社出るのは確実と見られる。
 1999年の製造業売上上位10社の順位と主な製品、売上高(単位、1億台湾元。1元=3.5円)は以下のとおりである。(カッコ内は1998年の順位)
1位(2) 宏碁電脳(エイサー):デスク型、ノート型パソコン 1,278
2位(3) 南亜プラスチック(台湾プラスチック・グループ):化学素材 946
3位(1) 中国鋼鉄:鉄鋼素材 898
4位(8) 広達電脳:ノート型パソコン 753
5位(9) 台湾積体電路製造:半導体 731
6位(10) 英業達:ノート型パソコン 631
7位(11) 大同:デスク型パソコン 615
8位(4) 和泰自動車(トヨタ系):自動車 529
9位(14) 鴻海精密:デスク型パソコン 519
10位(6) 中華自動車(三菱自動車系):自動車 507

◎コマツ電子金属、台湾のシリコンウエハー工場竣工/高品質、高効率な生産ライン構築(1999年3月24日、半導体産業新聞)
 コマツ電子金属(株)(神奈川県平塚市)は、台湾雲林県に建設を進めていたシリコンウエハー工場が完成し、1999年3月3日に工場開所式を行った。
 この工場は、コマツ電子金属と台湾プラスチックとの合弁で95年11月に設立した台湾小松電子材料の新工場。単結晶シリコンの引き上げから鏡面ウエハーの加工に至る一貫生産工場として竣工。

◎最新インターネット普及状況(1998年4月1日、聯合報)
 世界中で予想以上の早さで普及しているインターネット。台湾でも、政府が音頭をとって普及を大きく広げようとしているが、実態はどうなのだろうか。
 台北『聯合報』は、2月23日から3月23日の1カ月間、台湾地区の電話帳から無作為に抽出した15歳以上の住民3,830人を対象に電話による大規模な調査をおこなった。実際にインターネットを利用したことのある「インターネット族」は、サンプル全体の約20%にあたる771人で、以下は、この771人に対しておこなわれた調査結果の一部である。

・典型的な利用者像
 さて、台湾の典型的な「インターネット族」はどんな人なのだろうか。調査結果からは「勤め人、若者、高学歴、男性、北部の都市部に居住」という像が浮かび上がった。
 職業を見ると、「勤め人」65%、「学生」27%で、専業主婦や定年退職者は全体の4%にすぎなかった。
 年齢の分布は、やはり若者の天下で、30歳未満が53%を占め、50歳以上はわずか3%だった。
 学歴は、96%が高卒以上で、そのうち約四割が大卒または大学院卒だった。このほか、性別では、男性55%、女性45%となった。

・地域格差解消が課題に
 また今回の調査では、「インターネット族」には地域的な偏りがあることも明らかになった。北部在住が五割以上を占め、東部在住者に至っては2%という極端な結果が出た。
 「都市化レベル」を指標とすると、「インターネット族」は、都市化レベルが比較的高い地域に集中しており、台北、高雄の両直轄市と五つの省直轄市(台中、台南、基隆、新竹、嘉義)在住者が65%を占めている。
 こうした「地域格差」は、大学生を対象とした別の調査でも出ており、「行政の全面的コンピュータ化」を目指す台湾としては、全国的な普及が差し迫った課題となるだろう。

◎台湾テレホンカード事情、発行も収集熱も「第三期」に突入(1997年11月6日、中国時報)
 使用済テレホンカードの寄付を受け付けるボランティア団体がある。これは、海外のコレクターの間で、デザインの美しい日本のテレホンカードの人気が高く、使用済であっても一枚いくらかで売れるため。このように、テレホンカードには、切手と同様、世界中にたくさんのコレクターがおり、ときには投機の対象にもなりうる。
 台湾でもテレホンカードのコレクターは多く、日本のカードのファンも少なくない。台湾におけるテレホンカード事情を探ってみよう。

・台湾のテレホンカード「史」
 台湾では1984年にテレホンカードの発行が開始された。ぺらぺらの日本のテレホンカードとは異なり、ちょうどクレジットカードくらいの厚さがある。中華電信(日本のNTTにあたる電話会社)や関係業者の概算によると、台湾のテレホンカード・コレクターは五万人から十万人の規模。最近、テレホンカード市場の低迷によって、取引価格も下がってきており、一般のコレクターにとっては、手頃な価格でお好みのカードを集めるチャンスだという。
 台湾のテレホンカードは、発行時期によって次の三期に分けられる。@発行開始の八四年から八八年三月末までの旧電信総局の一色刷のもの、A八八年四月から九六年六月末までに発行された旧電信総局のカラー刷のもの、B電信総局が中華電信に民営化された九六年七月以降のバラエティに富んだデザインのもの。
 第一期のカードは、紫色、青色、オレンジ色の単色で、図案といえるようなものもなく、コレクター自体少なかった。しかし、これら最も初期に発行されたカードには希少価値があり、現在何万元(一元=約4円)にも値上がりしているそうだ。
 第二期には、カラーのものが出回り出し、毎月一、二回定期的に発行されたため、コレクターもしだいに増え、台湾のテレホンカード収集は「黄金時代」に突入した。しかし、発行枚数も種類も限られていたので、発売日にはコレクターが殺到し、一週間ですべて売り切れという状態が続き、電信総局が急遽単色のカードを臨時発行する騒ぎになったこともあった。この時期のテレホンカードで最も有名なのは、最初に発行された十三種と故宮文物シリーズの十三種で、それぞれ高値がついている。
 第三期には、電信総局が民営化されて中華電信となって、一般のテレホンカード以外に広告用、政府広報用のカードの発行も始まり、発行枚数が激増、デザインも格段に豊富になった。現在では、毎月約五百万枚のカードが発行されている。しかし、皮肉なことに、これがテレホンカード市場の低迷につながっているという指摘もある。種類が多すぎて、収集自体をあきらめてしまうコレクターが続出しているというのだが…。

・中華電信の新たな試み
 中華電信では、昨九七年三月に台北市忠孝西路に「公用テレホンカード・センター」を開設した。各種のカードを展示する以外に、発行情報の提供および以前発行されたカードの再販売をおこなっている。 たとえば、最近では、八六年から九三年までに発行された百枚あまりのカードをセットにし、額面一万九千八百元のところをホルダー代金を合わせた二万元(約八万円)で販売して、大きな話題を呼んだ。また九四年以降のカードについても、数枚一セットで定価販売している。
 一部の業者の間には、中華電信がコレクター市場の状況を無視して定価で古いカードを売ることに不満の声も上がっているが、同センターでは、今後「友の会」を組織し、コレクターとの意見交換やアフターサービスに努めたいとのこと。

・日本のテレホンカード
 日本のテレホンカードは、台湾にも一定のファンがいる。図案が美しく、一日で七、八十種類も発行されることから、コレクターにとってはたまらない魅力があるらしい。
 台北テレホンカード協会の池永媛代表によると、台湾で人気のある日本のカードの図案は、「ちびまる子ちゃん」などのアニメ・キャラクター、木村拓哉などのアイドル、富士山などの風景などで、デザインによっては使用済みのものも取引されている。

・欧米のテレホンカード
 台湾で欧米のテレホンカードを集めている人はそれほど多くはないが、イギリスの故ダイアナ元皇太子妃のような著名人のものやディズニー・アニメなどには人気がある。

・大陸のテレホンカード
 中国大陸では九三年にテレホンカードの発行が始まったが、発行種類が少なく希少価値があるため、コレクターの新たな標的となっている。
 大陸のテレホンカードは、九六年から値上がりを始め、昨九七年には香港返還ムードが追い風となって、両岸および香港で価格が急騰した。最高潮は四月で、例えば額面六ドル相当の大陸の地図をデザインしたものが、一時千五百ドルにまで値上がりしたが、夏には四百五十ドルにまで値を下げた。このように価格の変動が大きいことから、台湾の関係者は、単に投機目的で大陸のテレホンカードを買わないようコレクターに注意を呼びかけている。